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三菱地所ホーム シックハウス裁判

  1. 1865 自称被害者とその応援団の投稿はデタラメばかりだ!

    判決文はすごく長いので2回に分けました。

    第三 当裁判所の判断
    一 事実関係
    証拠(〈証拠等略〉)並びに弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。 ただし、原告**本人及び上記各証人の供述並びに各陳述書のうち、以下の認定に反する部分は、他の認定事実と整合しないか、又は裏付けを欠くので、採用することができない。

    1 シックハウス症候群について
    (一)シックハウス症候群
     シックハウス症候群とは、厚生労働省による参考定義によれば、「住宅の気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築・改築後の住居やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染等により、居住者の様々な体調不良が生じている状態が、数多く報告されている。症状が多様で、症状発生の仕組みを初め、未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることからシックハウス症候群と呼ばれる。」 とされており、住宅に使用される建材等から発散するホルムアルデヒド等の化学物質に室内空気が汚染されること等により、目、鼻、のど等への刺激、頭痛等の多様な症状を示すことをいう。
    また、シックハウス症候群と並び、「化学物質過敏症」という症状も指摘されており、 厚生労働省の報告書によれば, 「一度にある程度の量の化学物質に暴露されるか、あるいは低濃度の化学物質に長期間反復暴露されて、いったん過敏症になると、その後極めて微量の同系統の化学物質に対しても過敏症状を来すものがあり、化学物質過敏症と呼ばれている。化学物質との因果関係や発生機序については未解明な部分が多く、 今後の研究の発展が期待される。」とされており、両者の境界はあいまいである。なお、シックハウス症候群ないし化学物質過敏症の発症は、居住者の体質や体調等にも左右され、一定量以上の原因物質にさらされると必ず発症するとか。 一定量以下では発症しないなどの基準は未解明である。(甲53, 弁論の全趣旨)
    (二) ホルムアルデヒド
    シックハウス症候群の原因物質と考えられる様々な化学物質の中でも代表的なものがホルムアルデヒドであり、本件では同物質が問題となっている。
    ホルムアルデヒドは、刺激臭があり、常温では気体である。 水溶性であって、殺菌・防腐剤として使用されるほか, 木材, ビニール壁紙用の接着剤として多く使用されている。ホルマリンは、揮発性を有し、木材、ビニール壁紙用の接着剤等から空気中に放散することがあり、室内の温度や湿度が高いほど放散量が多くなる性質を持つ。建材等として使用されているものから放散する場合、一般的には、使用直後は時間の経過により放散量が減少するが、一定期間経過後も放散が継続する場合があり、その場合、冬季に比べて夏季に放散量が多くなる傾向がある。
    室内の空気中におけるホルムアルデヒドの濃度がガイドライン値を超えると、通常人が臭気を感じるといわれているが、より低い濃度であっても、臭気を感じる人も存在するし、シックハウス症候群ないし化学物質過敏症を発症する可能性もある。濃度が高くなると、目、鼻、のど等に対する刺激を感じるようになり、更に高くなると、不快感、流涙、くしやみ、咳、吐き気等を起こすことがあり、場合によっては死に至ることもある。
    建物の室内空気中に放散されるホルムアルデヒド対策としては、高い等級に該当する建材を使用することが効果的であるが、その場合でも、条件によってはホルムアルデヒドの室内濃度がガイドライン値以下にならないことがある。室内の化学物質濃度は、換気量と建材及び施工材からの放散量との関係で決まるため、使用面積に加え、換気条件や室内温湿度によって室内濃度が変わる。また、規制の適用を受けない下地材等の建材や造作家具から放散することもある。建材、換気量のすべてに配慮したとしても、室内温湿度等の建物の条件によっては濃度が高くなる場合もあり得る。(甲53, 甲54, 甲57)

    2 シックハウス症候群対策の推緯
    (一)昭和55年、合板からのホルムアルデヒド放散等級として、合板に関するJAS規格 (F1からF3)が定められた(平成6年に定められたJIS規格同様、等級数が大きいほど、ホルムアルデヒド放散量も多い。)。
    (二)旧厚生省は、平成9年6月13日、「健康住宅関連基準策定専門部会化学物質小委員会報告書」を公表し、ホルムアルデヒドの空気中濃度を30分間の測定において平均で0.1mg/m3とする指針値(これがガイドライン値であり、ほぼ0.0001ppmに相当する。) を提案した。この数値は、元々WHO欧州地域専門委員会によって、一般的な人たちにおける明らかな感覚刺激を防ぐための値として勧告されたものである。(甲54, 甲56)
    (三)旧厚生省に設置された「健康住宅研究会」は、平成10年3月、設計者及び施工者向けの「室内空気の低減のための設計・施工ガイドライン」(以下「設計・施工ガイドライン」という。)を発行した。その中で、①ガイドライン値は、住宅室内のホルムアルデヒド濃度についての規制を定めたものではないが、健康住宅研究会としては、住宅の設計者、施工者が居住者の健康被害を低減してゆくために、目標とすべき濃度として参考にしていること、②住宅の室内に放散した優先取組物質(ホルムアルデヒド等)を希釈、除去していくためには、敷地の状況や、地域の気象条件を踏まえて自然換気を取り入れたり、必要に応じて機械換気を行うことが有効であり、風による空気の流れをより効率的に活用できるような位置に窓や換気口を設けることや、適切な位置に換気設備を設けることが効果的であること、③ 建材・施工材の選定に当たっては、建材・施工材の含有成分表示やその含有成分の放散に関する規格(公的規格、業界規格)を参考として、可能な限り、優先取組物質の放散の少ないあるいは放散のない建材・施工材を選択することが優先取組物質による健康被害を低減していく上で有効であるなどの見解を発表した(甲50)。
    (四)平成11年6月、 品確法が制定された。 品確法に基づく住宅性能表示制度の中で、空気環境の表示項目が設定され、①内装材のホルムアルデヒドの放散量の少なさを評価するために、使用されている材料の種類と放散量に基づく等級を表示すること、 ②化学物質の希釈に有効な換気について、換気対策を評価するための「全般換気対策」と便所 、浴室、台所の空気汚染物質、湿気を排除するための「局所換気設備」について、換気設備の有無等を表示することとされた。そして、平成12年10月から、品確法に定める住宅性能表示制度において、内装に使用する合板等の等級を表示するなど、室内の空気環境に関連する表示が開始された
    品確法は、平成13年8月に改正され、新たに「室内空気中の化学物質の濃度等」の表示項目が追加され、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの濃度を建設された住宅で測定し、表示することとされた。
    (五)厚生労働省の「シックハウス(室内空気汚染) 問題に関する検討会」は、平成12年6月26日、「中間報告書一第1回~第3回のまとめ」として、室内空気汚染にかかわるホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの室内濃度に関する指針値及び室内空気中化学物質の採取方法と測定方法を取りまとめ、ガイドラインとして整理、発表した。これによると、ホルムアルデヒドの指針値は、ガイドライン値と同様の0.1mg/m3であって、これは、30分間の平均値としての数値であり、室温25度を前提とし、 短期間の暴露によって起こる毒性を指標として策定したものである。
    (六)社団法人住宅生産団体連合会は、平成13年3月29日、「住宅内の化学物質による室内空気室に関する指針」を改定し、以下を含む指針(以下「住宅生産団体連合会指針」 という。)を発表した。
    (1)内装仕上げ材並びに収納・収納家具・建具類・造作材等及び住宅設備機器に用いる合板類は、ホルムアルデヒドの放散量が日本農林規格(JAS)で定めるFc0等級レベルのものとし、ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)及びパーティクルボードは、ホルムアルデヒドの放散量が日本工業規格(JIS)で定めるEO等級レベルのものとする(当時、JASには、合板類についてホルムアルデヒドの放散量について、最上級をFc0 とする、Fc0からFc2sまでの等級規格が定められている。各等級のホルムアルデヒド放散量は、Fc0が、平均値 0.5mg/L(500mg/m3ということになる。) 以下、最大値 0.7mg/L以下である。JISには、最上級をE0とする、EOからE2までの等級規格が定められており、各等級のホルムアルデヒドの放散量は、EOが0.5mg/L以下である。)。
    (2)適切な換気回数が確保できるよう、換気システムや吸排気口の設置など必要な対策を講ずるものとする。換気回数は0.5回/時以上を確保する必要がある。
    (七) 国土交通省内に設置された「社会資本整備審議会」が、平成14年1月30日に発表した答申は、平成12年度に全国で実施した実態調査によると、調査対象住宅の3割近くでホルムアルデヒドの室内濃度がガイドライン値を超えていて、新築住宅でもガイドライン値を超えるものが依然として多数存在していること、化学物質の室内濃度は、測定時の気象条件や開口部の開閉、家具の設置等のような使用状況によっても変動するため、規制の基準としては、室内濃度そのものではなく、当該化学物質の室内濃度をガイドライン値以下に抑制するために通常必要な建築材料、換気設備等に関する客観的な構造基準を定めるべきであること等を明らかにした。
    (八)平成14年7月に建築基準法が改正され、平成15年7月1日に施行された。この改正により、シックハウス症候群対策のために、①内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限を行う、②原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置を義務づける(0.5回/時)などの規定が設けられた。
    建築基準法の改正に伴ってJAS規格も改正され、従前のFc0からFc2sまでの等級に代わり、最上級をF☆☆☆☆とするF☆☆☆☆からF☆☆までの等級が新たに設けられ、F☆☆☆は、従前のFc0及びEOに該当し、F☆☆は、従前のFc1及びE1に該当するものとされた(乙61)。

    3 本件建築請負契約の締結に至る経緯
    (一)原告らは、平成13年秋ころ、検討業者の一つとして被告を選んだ。原告らは、同年11月22日、被告担当者らとの間で打合せを行い、その際、被告担当者らに対し、土地の間口が7.5メートル程度であるから、建物の幅は、3から3.5間程度にすること、建物の東側に半間以上のスペースを取りたいが、西側は狭くなっても構わないこと、南側を広くするために建物を北側に寄せたいこと、1階と2階で合計40坪程度で地下室を設けたいこと、家相を重視していること等の要望を伝えた。
    原告らは、過去に化学物質過敏症等を発症していたわけではないものの、当時、マスコミにおいて、住宅建築に使用される合板や接着剤に含まれる化学物質により健康被害が生じている等の報道に接していたことから、同月27日付けの被告への要望書の中で、自宅を建築するにあたって原告が有している多数の要望と併せて、シックハウス症候群を防ぐため、有機接着剤を使った合板は使わずに石膏ボードのような天然素材を使ってほしい旨及び全館の換気システムを導入してほしい旨申し入れた。
    原告らは、同年12月19日付けの要望書の中でも、シックハウス症候群を防ぐため有機接着剤を使った合板は使わず、珪藻土のような健康建材を全面的に使い、化学物質を排除することを要望していた。(甲41, 甲42, 甲43, 甲62, 乙87, 乙99)
    (二)原告らの上記要望に対し、被告担当者らは、確かに以前のいわゆる新建材と呼ばれる合板については、接着に使うホルムアルデヒド等により健康被害が生ずるという問題もあったが、被告が使用する標準の建材についてはそのような問題はないこと、接着剤を全く使用していない自然素材を使うという方法もあるが、それらの建材は大変高価であること、また、漆喰の壁は職人の手間賃が高く、現在ではほとんど使われておらず、被告が使用するクロスも十分安心できるものであること等を回答した(原告**本人)。
    (三)このような被告担当者らによる説明を踏まえ、原告らは、リビング、ダイニング、キッチン等本件建物の一部にのみ無垢材を使用することとし、また、壁の仕上げについてはすべてクロスを用いることとして、平成13年12月21日、契約書(甲1)に署名押印して、被告との間で本件建築請負契約を締結した。また、原告らは、被告担当者らから. 機械的な換気システムを導入する必要がある旨の説明を受け、被告が販売している24時間セントラル換気システム又は全館冷暖房方式の換気システム(エアロテック)の採用を勧められた。その結果、原告らは、24時間セントラル換気システムを採用することとした。(甲1, 甲44の1, 乙3の1及び2)
    (四)被告担当者らは、原告らに対し、本件建物の建築工事が開始されるまでの間に、本件建物を建築するためには山留め工事が必要であり、隣地境界との状況から有効離れ寸法として60センチメートル(境界と壁芯では70センチメートル)が必要であること、西側が主な設備配管スペースとなり、それらは山留めをよけて施工する必要があること、エアコンの室外機の必要空間として、背面10センチメートル、本体約30センチメートル、前面20センチメートルの合計約60センチメートルのスペースが必要であることなどから、本件建物を敷地の中央に配置するほかない旨説明した。原告らは、これを承諾して、現状のとおり、本件建物の配置を、本件建物の東側の境界との離れを800ミリメートル(壁芯まで)とし、南西角(壁芯)と隣地境界との離れを約735ミリメートルとする(有効距離でいうと、それぞれ約700ミリメートルと約635ミリメートルに相当する。)ことが決定された(甲103, 乙40ない乙45, 乙59の1ないし6)。
    (五)原告**及び訴外****は、 平成14年1月11日、売買により本件土地の所有権を取得した(甲39)。

    4 本件建物に使用された建材
    被告は、本件建物を建築するに際し、別紙使用建材一覧表の使用場所及び部位欄記載の場所に、同一覧表の仕上材、商品名、メーカー名/販売者名欄記載の建材及び接着剤等を使用しており、それらの建材は、同一覧表のホルムアルデヒドの等級欄記載の等級(当時のホルムアルデヒドの放散量についての品質等級のうち, Fc0、EOに当たる最上級のもの)に該当するものであった(乙4の1ないし乙41, 乙48, 乙55の1ないし乙57の6, 乙60の1及び2, 乙70の1及び2, 乙84, 証人**)。

    5 本件建物の換気設備及び換気回数
    (一)換気設備
    本件建物においては、窓その他の開口部の面積は居室の面積の20分の1以上となっている。本件建物においては、①1階洗面室、1階トイレ、2階トイレには、それぞれ換気量49m3/時の機械換気装置が、②1階浴室には、換気量78m3/時の機械換気装置が、③地下のスタジオには、換気量42m3/時の機械換気装置が、④1階アトリエには、換気量46m3/時の機械換気装置が、⑤本件建物全体のために換気量101ないし115m3/時の24時間セントラル換気システムが、それぞれ設置されている。本件建物の地階スタジオと廊下・階段との間のドア下及び1階アトリエと玄関ホールの間のドア下にはそれぞれ1センチメートル程度のアンダーカットが、地階スタジオ天井にはリターンダクトが、1階浴室ドアには開閉式の換気口(ガラリ)が各設置されている。(甲1, 甲31, 甲44の1, 乙50, 乙62の1ないし3, 乙64ないし乙68, 乙97及び弁論の全趣旨)
    (二)換気回数
    本件建物の居室の換気回数は、これを算出するに当たり、本件建物の居室としてどの範囲を想定して容積を算出するか、24時間セントラル換気システムの換気量をどのように想定して算出するか、本件建物に設置されている機械換気装置の換気量をどの範囲の部屋についてどのように考慮するか等の諸々の条件によって異なり、最大で0.99回/時から最小で0.3回/時までの算定値が得られる(甲61, 甲72, 甲80, 甲86, 甲111, 甲114, 乙50, 乙62の1ないし3, 乙64 ないし乙68及び弁論の全趣旨)。

    6 本件建物における空気中のホルムアルデヒド濃度等の測定結果
    (一)が株式会社富士通ゼネラル、平成15年1月24日、GASTEC製検知管91PLを用いて、本件建物内の空気中ホルムアルデヒド濃度を測定した結果は、最小で0.04ppm、最大で0.08ppmであった(乙54)。なお、同日における各居室の室温は、不明である。
    (二)世田谷区役所が、平成15年6月23日、光明理化学工業製ホルムアルデヒド710型検知管を使用して、本件建物内の空気中ホルムアルデヒド濃度を測定し、これを25℃の値に換算した計算値は、最小で0.06ppm 最大で0.10ppmであった(甲12)。
    (三)株式会社富士通ゼネラルが、平成15年7月5日、ホルムアルデヒド91PL検知管を用い、電動吸引方式にて本件建物内の空気中ホルムアルデヒド濃度を測定した際の計算値は、最小で0.096ppm 最大で0.150ppmであった(甲49, 甲49の2, 甲64の1ないし5)。
    (四)株式会社環境技術研究所が、平成15年8月13日及び同年9月9日、厚生労働省のシックハウス問題に関する検討委員会による「室内空気中化学物質の室内濃度指針値及び標準的測定方法について」に準拠する分析方法により、本件建物の各部屋の空気中ホルムアルデヒド濃度の測定を行った結果は、8月13日が最小で0.034ppm、最大が0.084ppm(室温は、26.4℃ ないし28.7℃)、9月9日が最小で0.096ppm、最大が0.11ppm(室温が29.6℃ないし30.9℃)であった(甲13, 甲14)。
    (五)財団法人建材試験センターが、平成16年6月15日から同月17日にかけて、「フローリングの日本農林規格」のホルムアルデヒド放散量試験方法に従い、本件建物の地下室床及び地下室階段のフローリング材のホルムアルデヒド放散量の測定を行ったところ、平均値で0.4mg/L、最大値で0.5mg/Lのホルムアルデヒドの放散が検出された(甲38の1及び2)。
    (六)環境リサーチ株式会社が、平成16年6月24日、小型チャンバー法により、本件建物2階北洋室の空気中ホルムアルデヒド濃度の測定を行った結果は、床フレックの放散量60μg/mh、壁フレックの放散量9μg/m・h(いずれも室温32.7℃)であった(甲15)。
    (七)株式会社住化分析センターが、 平成16年7月22日から同月23日までの間に原告らが採取した本件建物内の空気を高速液体クロマトグラフ法により分析したホルムアルデヒド濃度測定値は、最小で120μg/m3、最大で140μg/m3(室温 32.8~32.9℃)であった(甲16, 甲16の2)。
    (八)株式会社住化分析センターが、平成17年9月2日から同月3日までの間に原告らが採取した本件建物の空気を高速液体クロマトグラフ法により分析したホルムアルデヒド濃度測定値は、最小で160μg/m3、最大で190μg/m3(室温 29.2~33.5℃)であった(甲74)。

    二 シックハウス症候群に関連する争点に対する判断
    1 争点1-①(シックハウス症候群の排除、室内のホルムアルデヒド濃度の制限、使用建材の限定及び換気量確保の合意)について
    (一)シックハウス症候群について原告らが主張する本件建築請負契約における合意内容は、①およそ原告らがシックハウス症候群に罹患することがないようにする、そのために、②本件建物内の空気中のホルムアルデヒド濃度がガイドライン値(30分間の測定において平均で0.1mg/m3)を超えないようにする、③ホルムアルデヒド等の放散量が限りなく0に近い建材を使用する、④1時間に0.5回の換気量を確保するというものであって, そのような合意内容を認めるべき根拠として、原告らは、本件建築請負契約の締結当時のシックハウス症候群を取り巻く社会情勢ないし研究状況、被告の知識と営業活動及び本件建築請負契約の締結に当たり原告らが被告に示した要望と被告の回答を指摘している。
    (二)(1) そこで、まず、およそ原告らがシックハウス症候群に罹患することがないようにし、そのために本件建物の室内の空気中のホルムアルデヒド濃度がガイドライン値を超えないようにするという点について検討するに、前記認定のとおり、確かに、平成9年に旧厚生省よりガイドライン値が示された後、本件建築請負契約の締結のころまでの間、設計・施工ガイドラインや厚生労働省の報告書等によりガイドライン値を目標とすべきであるとの指摘がされていたこと、原告らは、本件請負契約の締結交渉の際、シックハウス症候群を防ぐために有機接着剤を使った合板を使用しないことや天然素材の使用を希望したこと、被告がその当時、被告の採用している換気設備が清潔で健康に良い空気の確保に資する旨の広告活動を行っていたこと、被告担当者らも、原告らに対し、被告が使用する建材については健康被害の問題はないなどと説明したことを認めることができる。
    しかし、他方、前記認定事実によると、①シックハウス症候群ないしこれと同様の症状を呈する化学物質過敏症は、その発症の機序及び両者の区別が明らかではないこと、② ホルムアルデヒドは、 家具、塗料, 衣類等種々のものに使用されてきており、屋内において必ずしも住宅用建材のみから放散されるものではないこと、③ ホルムアルデヒドは、毒性が強く、一般的にはガイドライン値を超えると人体に影響を及ぼすことがあり、同数値が健康・衛生を守る上での指針値であるとされてはいるが、この値は元々一過性の体調不良を想定して指摘された基準であって、より低い濃度においてもシックハウス症候群に罹患する可能性があること、④前記第三,一1及び2の研究結果等において、ガイドライン値を目標とすべきであると度々指摘されていたこと、⑤しかし、可能な限り建材を吟味し、換気を考慮しても室内の空気中のホルムアルデヒド濃度を完全にガイドライン値以下に抑えることができるとは限らないことを認めることができる。
    以上からすると、およそ原告らがシックハウス症候群に罹患することがないようにするとか、本件建物の室内の空気中のホルムアルデヒド濃度がガイドライン値を超えないようにするということは、現在の医学的知見及び建築施工等の技術水準を前提とする限り、いまだどのようにすれば実現し得るのかが明らかになっていない事柄であるといわざるを得ない。
    そうであるとすると、施主が上記のような結果を求める特別な理由があって、これを実現することが契約内容である旨具体的に明示した要求がされ、施工者が、あえてこれを承諾したことを認め得るような明確な根拠がない限り、上記二つの事柄が契約内容として合意されていると認めることは、意思表示の合理的解釈としても、また経験則上からも、困難であるというべきである。
    (2) これを本件について見ると、前記認定事実及び甲第1号証によると、原告らは、本件建築請負契約の締結交渉をしていた当時から、シックハウス症候群に関心を持って不安を表明していたものの、過去に化学物質に対するアレルギー症等を発症しているなどの特別な懸念材料があったわけではなかったし、甲第42号証等を見ても、シックハウス症候群にならないようにとの希望は、本件建築請負契約の締結交渉の過程で示されていた多数の要望のうちの一つにすぎないのである。そして、実際に本件建築請負契約を締結した際には、本文7ページにわたる契約書(甲1) が作成され、それには、住宅性能保証約款や、詳細な見積書、仕上表及び設備・建具造作付表も添付されているにもかかわらず、これらに原告ら主張の合意内容は何も記載されておらず、これを記載した特約書、念書、覚書等も存在しないのである。また、そのような書面を作成するよう原告らが被告に求めたことをうかがわせる証拠は見当たらず、原告らが.ガイドライン値を具体的に意識して、これを契約書等に記載しようとしていたことをうかがわせる証拠も見当たらないのである。
    さらに、前記のとおり、当初、原告らがいわゆる自然素材の使用にこだわっていたのは事実であるが、一般的な建材に比して高額な、ホルムアルデヒドを全く放散しない無垢材等の自然素材をすべて使用するとの要求を最後まで維持していたと認めるに足りる証拠はない。むしろ、前記認定事実及び甲第1号証の記載内容に照らすと、そのような原告らの要望に対する被告の回答は、要するに、通常は,被告の建物によりシックハウス症候群に罹患するようなことがないことと、ホルムアルデヒドを全く放散しない自然素材のみを使用すると、材料費や手間賃も高額化し、コストがかかるので、通常の建材も交え ただし上級のものを使用する旨説明したにとどまるものと解することができる。それに対して, 原告らは、複数回の打合せの後、コストの上昇をおして、あえて自然素材のみを使用することを選択することはせず、無垢材等の自然素材を使用する部分を一部にとどめ、一般建材も使用することで、甲第1号証の契約書(住宅性能保証約款 見積書、仕上表及び建具・造作付表を含む。)のとおりに本件建築請負契約の内容を合意したと認めるのが相当である。
    したがって、原告**本人の供述や原告両名の陳述書(甲48, 甲87, 甲90の1, 甲115, 甲117, 甲124)を勘案しても、本件建築請負契約において、およそ原告らがシックハウス症候群に罹患することがないようにするとか、室内の空気中のホルムアルデヒド濃度がガイドライン値を超えないようにするということが、本件建築請負契約の内容として合意されたものと認めるには足りないというべきである。
    (三)次に、ホルムアルデヒド等の原因物質の放散が限りなく0に近い建材を使用することが契約内容になっているかという点について見ると、本件請負契約の締結時から本件建物の引渡時にかけては、改正建築基準法の制定準備ないし施行準備の段階であったのであるから、改正建築基準法の具体的な内容及び新たなJAS規格の内容 等級と該当する建材の種類等はいまだ明確に周知されていたとはいえず、建材に含有されるホルムアルデヒド等に関しては、JAS規格のFc0等の基準があるにとどまっていたものである。しかも、改正建築基準法においても、建材につき、原因物質の放散が限りなくゼロに近いものを使用することが義務づけられていたわけではない。また、原因物質の発生が限りなく0に近い建材を使用するためには、そのような建材を特定して見積りを行い、さらには、建築業者において、実際に使用しようとする建材のホルムアルデヒド濃度を独自に測定、吟味してその結果を見てから使用しなければならないが、そのような見積りは、建築請負代金の高額化を招くし、独自の測定は、使用建材の種類、量等を考えると、これを期待するのは、特段の事情がない限り、現実的でないといわざるを得ない。そうすると、シックハウス症候群の発生機序やホルムアルテヒド等の空気中濃度に関して既に述べたところも考え合わせると、通常、建築業者としては、原因物質の放散可能性については、建材メーカーの品質表示を基準に検討して、価格との見合いで一定の使用建材を選定するものであり、明確な根拠がない限り、原因物質の放散が限りなく0に近い建材を使用することを合意したと認めることは困難であるといわざるを得ない。
    そして、本件では、契約書、見積書、仕上表、設備・建具造作付表等が作成され、その中でメーカー名や品番を記載するなどして、使用建材等が特定されていたのであって、これらとは別に原告らが主張するような使用建材の限定があることを示す明確な根拠は見当たらない。したがって、原告**本人の供述等を勘案しても、建材の限定が契約内容となっていたことは認めるに足りず、この点についての原告らの主張は、理由がない。
    (四)さらに、本件建物において、0.5回/時という換気回数を確保することが契約内容とされていたかという点について検討すると、前記認定事実によると、(1)本件建築請負契約の締結時において、建物における換気の確保がシックハウス症候群を防止するために必要であることが建築業界等の複数の研究結果等で指摘され、0.5回/時という数値も提唱されていたこと、(2)しかし、 建築基準法の改正により同数値が基準として定められたのは、平成14年7月であって、本件建築請負契約の締結交渉が行われ、締結がされた平成13年当時には、まだ、上記の法改正はされていなかったこと、(3)本件建物の工事期間は平成14年9月末までであったが、この段階でも、改正法の施行(平成15年7月1日) はされていなかったことを認めることができる。
    加えるに、従前の複数の研究結果で提唱された0.5回/時という数値については、その算出方法も含めて明らかにされていたと認めるに足る証拠はなく、算出方法も含めて0.5回/時という数値基準を明示したのは改正建築基準法以外に見当たらないのである。本件建物の換気量についても、前述のとおり複数の算出結果が示されているが、その数値は大きく異なっており、それは算出方法の相違によるものと推認することができる。そうであるとすると、建築基準法が改正された平成14年7月当時までは 0.5回/時という数値は、その内容が定量的に明らかではなく、一般的な通有性を有していたと認めることはできない。したがって、平成13年12月の本件建築請負契約の締結に際して、改正建築基準法が定めるところの0.5回/時という換気回数を確保することが契約内容として合意されていたと認めるのは、明確な根拠なしには困難であるところ、本件では、そのような約定を記載した契約書、念書、覚書等が存在することをうかがわせる証拠は見当たらず、また、原告らがそのような約定を定めた契約書等を作成するよう被告に具体的に申し入れたことを示す的確な証拠もないのである。
    以上によると、原告**本人の供述によっても、原告らの主張するような換気回数を定めた契約内容があったと認めることはできず、そのほかこれを認めるに足りる証拠はない。

    2 争点1-②(契約上の安全配慮義務としてのシックハウス症候群の排除義務)について
    原告らは、本件建築請負契約が居住を目的とする住宅の建築請負契約である以上、請負人である被告においては、居住者らにシックハウス症候群を発症させてはならないという安全配慮義務を負うと主張する。
    しかしながら、前記認定事実に照らすと、本件建築請負契約が締結された当時のJAS規格のホルムアルデヒド放散等級の最上位の建材を使用したとしても、ホルムアルデヒドの放散を完全に防止することはできず、完成後の建物においてガイドライン値を超える濃度のホルムアルデヒドが検出されることもあり得るのである。また、シックハウス症候群の発症は、居住者の体質や体調にも左右され、建築業者の努力により完全に予防することが可能であるとはいえないのであるから、居住用建物の建築請負契約を締結したことから直ちに被告が原告ら主張のような安全配慮義務を負うということはできない。
    したがって、原告らの上記主張は、理由がない。

    3 争点1-③(建材及び換気機能の瑕疵) について
    (一)建材について
    (1)本件建築請負契約において、原告らが主張するような使用建材を限定する合意がされたと認めることができないことは前述のとおりである。 したがって、契約違反による瑕疵をいう原告らの主張は、認めることができない。
    (2)次に、通常の性能が確保されているかという点から検討すると、前記のとおり、被告が本件建物の建築に際して使用した建材のうち、別紙使用建材一覧表記載の建材については、当時のホルムアルデヒドの放散量についての品質等級のうち、最上級である FcO、EOに当たる高い品質の物が使用されているのであるから、被告が使用した建材が通常の性能を有していないという意味で瑕疵があるということはできない。
    これに対し、原告らは、前述した原告らの調査による本件建物内の空気中のホルムアルデヒド濃度がいずれもガイドライン値(0.1mg/m3)を大きく超えていたこと、及び平成16年6月に原告らが行った建材の性能試験によれば、本件建物内の一部のフローリング材から平均値で0.4mg/L(400mg.m3ということになる。)、 最大値で0.5mg/Lのホルムアルデヒドの放散が検出されたことから、被告が低級の建材を使用したことが推認されると主張している。他方、被告は、原告による上記調査結果等の信用性を争っている。
    この点については、原告らは、本件訴訟手続中において、本件建物の室内の空気中のホルムアルデヒド濃度及び建材中のホルムアルデヒドの放散量についての鑑定を申請したが、第8回口頭弁論期日においてこれを撤回したものであり、完全な立証はされていない。しかも、前記認定事実に照らすと、空気中のホルムアルデヒド濃度は、測定方法や測定条件によって左右される上、本件建築請負契約が締結された当時のJAS規格のホルムアルデヒド放散等級の最上位の物を使用し、換気等に配慮したとしても、ホルムアルデヒドの放散を完全に防止することはできず、完成後の建物においてガイドライン値を超える濃度のホルムアルデヒドが検出されることもあり得るのであるから、本件建物の室内の空気中のホルムアルデヒド濃度がガイドライン値を超えていたとしても、また、原告らの援用する建材の試験結果をもってしても、被告が本件建築請負契約の締結当時の等級において、低級の建材を使用したと認めることはできない。
    また、原告らは、本件建物に入居後、本件建物に起因してシックハウス症候群に罹患したから、被告が低級の建材を使用したことが推認されると主張している。しかし、罹患の事実を前提に検討してみても、前記のとおり、ガイドライン値以下のホルムアルデヒドに暴露された場合であっても、シックハウス症候群に罹患する可能性を否定することができないことに照らすと、原告らの罹患の事実をもって、被告が低級の建材を使用したと推認することはできないというべきである。
    (3)以上のとおりであって、本件建物に使用された建材について、瑕疵があると認めることはできない。



    (二)換気について
    (1)本件建築請負契約において、原告らが主張するような換気の確保についての具体的な合意がされたと認めることができないことは、前述のとおりである。したがって、契約違反の瑕疵をいう原告らの主張は、認めることができない。
    (2)次に、換気につき通常の性能が確保されているかという観点から検討してみても、前記認定事実のとおり、被告は、本件建物の各居室に、24時間セントラル換気システムを設置しているところ、この換気装置により少なくとも0.3回/時の換気回数が確保されている。これと、前記のとおり、被告が本件建物の建築に際して使用した建材が当時の規格での最高等級に当たるものであったことを併せて考慮すると、本件建物に設置された換気設備に通常の性能を有していないという意味で不備があると認めることはできない。
    これに対し、原告らは、被告が本件建物に設置した各換気装置には、ショートサーキットや滞留が生じており、十分な機能を有していないと主張し、これに沿う内容の一級建築士による意見書(甲111, 甲114)等を証拠として提出している。しかしながら、これらは、ショートサーキットや滞留を生じていることを具体的に示すものではなく、そのほかこの点を認めるに足る的確な証拠はないから、原告らの主張には理由がない。
    4 以上によると、 証拠(甲5から甲9まで、原告**本人) 及び弁論の全趣旨を総合すれば、原告らは、遅くとも平成15年2月ころから、ホルムアルデヒドを原因物質とするシックハウス症候群ないしそれと同様の症状の化学物質過敏症に罹患していることが認められ、かつ、時期的に見て、その原因が本件建物への入居にある可能性を認めることができるものの、他方、原告らのそのような症状の発症について、本件建物、その使用建材又は換気に瑕疵があるとか、被告に債務不履行や不法行為に当たる事実があると認めることはできないから、その余の争点について判断するまでもなく、シックハウス症候群についての原告らの主張は、理由がないといわざるを得ない。

    三 本件建物の位置に関する争点について
    1 争点2-①(本件建物の設置位置に関する合意)について
    原告らは、本件建築請負契約において、本件建物は、境界から東側90センチメートル、 西側50センチメートルの位置に設置すると合意されていたと主張するところ、確かに、前記認定事実のとおり、原告らは、本件建築請負契約の締結に先立ち, 被告に対して、建物の東側に半間以上のスペースを取りたいが、西側は狭くなっても構わない旨申し入れていたことを認めることができる。
    しかしながら、本件建築請負契約の契約書(甲1)添付の1階平面図、現況図を見ても、本件建物は敷地のほぼ中央に配置されるものとして記載されており、さらに着工に際して張られた地縄の位置からも、原告らとしては本件建物の設置位置や建物の幅を認識し得たものである(乙51の工事確認書へのサインもある。)。これらに前記認定の事実経過を考え合わせると、被告担当者は、原告らに対し、種々の理由から本件建物を敷地の中央に配置するほかない旨説明し、原告らは、遅くとも本件建物の建築工事の着工までに、現在の設置位置や建物の幅を承諾していたと認めるのが相当である(原告**本人も結論は同旨。)。したがって、本件建物の設置位置が契約内容に反するとの原告らの主張は、理由がない。
    2 争点2-②(本件建物の設置位置の理由に関する誤った説明)について
    原告らは、施工上、本件建物を敷地の中央に配置せざるを得ないという事実はなく、被告担当者の説明は事実に反するものであり、被告にはその点について説明義務違反があると主張する。しかし、前記認定事実に照らすと、厳密な意味で本件建物を敷地の丁度中央に配置するしかないということはできないものの、本件建物の敷地の間口距離と本件建物の幅を見比べると、東側及び西側の境界線から、壁芯からの距離でも合計約1535ミリメートル、有効離れ寸法で約1335ミリメートルしか余裕がないのであるから、西側に配管スペースがあること、地下1階を造るため山留め工事も必要であること、それでも東側を広く空けるためには本件建物の幅を小さくしなければならないが、建物の間口及び床面積の削減は原告らに不利益であること等を勘案すると、ほぼ中央に本件建物を配置するのが合理的であることは明らかである。そして、実際に合意された設置位置は、若干東側を広く取り、有効距離で東側境界との離れを約700ミリメートル、南西角の境界との離れが約635ミリメートルであったというのであるから、このような配置とすることについての被告担当者の説明が真実に反しているとか、ないしは原告らを錯誤に陥らせるような不適切なものであったということはできない。
    3 よって、その余の点を判断するまでもなく、本件建物の設置位置に関する原告らの主張は理由がない。

    四 袖壁の未設置の争点について
    1 争点3-①(袖壁設置の合意)について
    原告らは、本件建築請負契約においては、本件建物の玄関に30センチメートルの袖壁が設置されることになっていたと主張する。
    しかし、証拠(乙52, 乙54, 乙84)によると、本件建築請負契約の締結時においては、玄関に袖壁を設設置することになっていたが、その後の平成14年3月12日の地鎮祭の際に、被告の現場担当者が原告らに対し、自動車の出し入れのことを考えると、袖壁はない方がよいのではないかとの提案をしたところ、原告らはこれを検討し、同月30日、袖壁の設置を中止すると申し入れた事実を認めることができる。したがって、最終的には、袖壁を設置しないことが合意されたものというべきである。よって、この設置が契約内容になっていたとの原告らの主張は、理由がない。
    2 争点3-②(袖壁を設置しない理由の誤った説明)について
    原告らは、上記現場担当者による説明が真実に反し、被告に説明義務違反があると主張する。
    しかし、被告の現場担当者の前記説明が真実に反することを示す証拠はなく、かえって、証拠(甲112)によると、玄関の袖壁が自動車の駐車等に影響を与える可能性は否定することができないから、原告らの主張は理由がない。
    3 よって、その余の点を判断するまでもなく、袖壁の未設置に関する原告らの主張は理由がない。

    五 争点4-①(防水テレビ設置の合意)について
    原告らは、本件建物の浴室に防水液晶テレビを設置する旨の合意があったと主張し、 原告**本人も同趣旨の供述及び陳述(甲71)をしている。
    しかし、証拠(甲1, 甲2, 甲63の1及び2, 甲67, 乙53, 乙58, 乙82, 乙84)によると、 (1)平成13年12月の本件建築請負契約の締結当初の時点においては、TOTO社製のシステムバスLタイプが設置されることとなっており、契約書添付の見積書及び設備仕様書(甲1)には、浴室用テレビは記載されていなかったこと、(2)平成14年2月3日ころ、原告らは株式会社ノーリツから、 浴室用テレビ・インターホン付きリモコンの見積書(甲63の 1,2)を取り寄せていること、(3)同年2月15日にその見積りも踏まえて打合せをした結果、株式会社ノーリツ製のシステムバス・ユパティオ(テレビなし)が設置されることとなり、最終的に同年3月7日に、本件建築請負契約の追加変更合意が成立したが、その注文書(乙53)及び打合記録(乙58)にもテレビの記載はないこと、(4)平成14年9月14日の現地の竣工確認の際、原告らから浴室のリモコンはテレビ付きであったはずであるとの指摘があり、被告が打合せ記録及び見積りを確認することになったこと、(5)同月16日には、原告らが被告に対してテレビをキャンセルした覚えはないとの書面(甲67)を送付したこと、(6)最終的に、同月28日に原告らは異議なく工事確認をし、本件建物の引渡しを受けていることを認めることができる。 他方、上記(3)のテレビなしの株式会社ノーリツ製システムバス設置の合意がテレビ付きのものに再度変更されたことを示す客観的な証拠はない。
    以上の事実関係に照らすと、原告**本人の前記供述及び陳述書は、原告らが浴室の防水テレビを希望していたという限度では首肯し得るものの、その設置が契約内容になっていたという点については採用することができず、そのほか浴室に防水液晶テレビを設置するのが契約内容であったことを認めるに足る証拠はない。
    したがって、防水テレビに関する原告らの主張は、その余の点を判断するまでもなく理由がない。

    第四 結語
    以上のとおり、原告らの主張にはいずれも理由がないから、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について、民事訴訟法65条及び61条を適用して、主文のとおり判決する。
    (裁判長裁判官・菅野博之、裁判官・日野直子、裁判官・早山眞一郎)
    別紙
    物件目録 〈省略〉
    使用建材一覧表 <省略>

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