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[一部本文を削除しました。2017.2.23 管理担当]
[スレ作成日時]2016-10-25 09:52:52
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タバコを吸うと「脳に異常が生じる」のは本当か
石田雅彦科学ジャーナリスト
9/27(水) 11:00
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3caf295e00ad26294b0267139fc89...
喫煙者の脳に異常が生じるのは、これまでの研究からよくわかっている。それがどんなものか、喫煙者にどのような影響をおよぼすのかを考えてみたい。
ニコチンによる影響
タバコを吸わない人にとってみると、喫煙者の行動を不思議に感じるかもしれない。タバコを吸うことを2時間ほども我慢できないし、タバコを吸う人間に禁煙を勧めたことのある人は異様なほどの頑なさで抵抗を受けた経験があるかもしれない。
タバコを吸うとニコチン(nicotine)が身体の中に入り、ニコチン依存症になってタバコをやめられなくなる。喫煙によるニコチン摂取は、口の中に入った時点で急速に吸収され、全身の臓器へ行き渡り、脳へは10秒という速度で到達する(※1)。
ニコチン自体は2時間ほどで約半分に代謝されて主にコチニン(cotinine)という物質に変わり、12時間ほどでコチニンも代謝されてなくなる。喫煙者が、2時間ほどもタバコを吸うことを我慢できないのはこのためだ。
ニコチンは脳内でニコチン性のアセチルコリン受容体という部分にくっつき、ドーパミンなどの報酬系脳内物質を出すことによってニコチン依存症になる。また、タバコを吸うことで大脳皮質にあるこの受容体は3~4倍にまで増える。禁煙後、1ヶ月経たないとこの肥大した受容体は元には戻らず、6~12週間でようやくタバコを吸わない人と同じレベルに戻る(※2)。
喫煙者の脳はどう変化しているのか
また、タバコを吸うことで、脳の大脳皮質が薄くなることもわかっている(※3)。喫煙者の大脳皮質は、タバコを吸わない人に比べ、0.07~0.17ミリほども薄い。人間の脳には可塑性があり、何かの影響で変異が起きても可逆的に元に戻ることがあるが、この脳の変化が元に戻るのには禁煙後25年ほどかかるのではないかと考えられている。
さらに、喫煙者の脳の前の部分(内側眼窩前頭皮質、mOFC)も、タバコを吸うことで厚さが減少していることがわかっている(※4)。吸う本数が増えるほど、また喫煙期間が長くなるほど薄くなる傾向があるようだ。
禁煙できる喫煙者とそうでない喫煙者の脳にも違いがある。中国などの研究グループが、喫煙者、非喫煙者、禁煙に成功した喫煙者、成功できなかった喫煙者、それぞれの脳(灰白質、Gray Matter)の量と脳の機能的な結合性(Functional Connectivity)を調べたところ、喫煙者は非喫煙者より左視床背内側の脳の灰白質の量が少なく、禁煙成功者は不成功者よりも脳のいくつかの部位で灰白質の量が大きかったという(※5)。
受動喫煙による子の脳への影響
脳の異常について言えば、受動喫煙による子への影響も深刻だ。母親の喫煙は低体重児出産や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクなど、胎児の健康や命に悪影響をおよぼし、また妊娠中に喫煙した母親を持つ子は犯罪を犯すリスクが高い傾向があることがわかっている(※6)。
母親の喫煙によって、タバコに含まれる多種多様な有害物質が胎児へ影響する。中でも、ニコチンによる脳への影響は大きく、それは出産前後から成長していく課程でも強く作用する(※7)。また、米国の小児科医らの研究グループが、新生児(超早産)395人を調べたところ、その12.6%が出生前に受動喫煙にさらされ、受動喫煙にさらされていた子はそうでない子よりも脳の損傷や異常が多かったという(※8)。
青年期の喫煙者の脳にも異常が
出生後の子の喫煙も、脳や精神に悪影響をおよぼす。これまでの研究によれば、喫煙者の多くは未成年の間にタバコを吸い始め、そのまま吸い続けた結果、禁煙が難しくなっていく。長く吸い続ければ吸い続けるほど、タバコをやめることは難しくなるからだ(※9)。
思春期や青年期の脳が高度に発達する時期にニコチンが供給されると、報酬系などをつかさどるドーパミン受容体に影響をおよぼし、情動反応などの成熟度を変化させ、その結果、学習能力の成長を阻害したり、社会的な不適合などを引き起こす恐れもある(※10)。
また、喫煙は衝動的な行動や注意力の低下に関係し、うつや不安など、成人になってからの脳の機能に影響をおよぼす。ニコチンによる影響は、女性より男性で強く出てくるとされ、ニコチンが紙巻きタバコと同じくらい入っている加熱式タバコなどの新型タバコにも同じような作用があるという(※11)。
さらに、米国の高校生のリスク行動調査による研究では、喫煙本数が増えてニコチン摂取量が多くなるほど、悲しみや絶望を感じたり自殺未遂をするリスクが高くなる傾向があったという(※12)。この報告をした研究者は、喫煙が身体の健康のみならず、精神的な健康にも悪影響をおよぼし、特に青少年期のヘビースモーカーに対して禁煙サポートなどの支援が必要と強調している。
中国などの国際的な研究グループが2023年8月に発表した青年期の喫煙者の脳を調べた研究によれば、感情を制御する脳の部位の一つと考えられている左側の腹内側前頭前野(ventromedial prefrontal cortex、vmPFC)の神経細胞の細胞体が存在する灰白質(Gray Matter)の体積(GMV)のサイズの小ささと喫煙行動に関係があることがわかったという(※13)。同研究グループは、こうした脳の変化が喫煙の開始や喫煙の継続、ニコチン依存になるかを探る糸口になると考えている。
タバコを吸ったことのない人と比べ、喫煙者が認知症になるリスク(Relative Risk)は2.2倍、アルツハイマー病になるリスクは2.3倍になる(※14)。喫煙は脳への悪影響も大きいことをよく知っておいたほうがいい。