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1000レスを越えましたので、
新しくスレを立てました。
[一部本文を削除しました。2017.2.23 管理担当]
[スレ作成日時]2016-10-25 09:52:52
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http://blog.livedoor.jp/emg_lawyer_hiramatsu/archives/42253151.html
ベランダでのタバコの煙に関するトラブル
第1 質問
共同住宅内において,隣室や階下室のベランダからのタバコの煙に関し,トラブルになることがあります。
次のような【事実】があるとして,①Xさんは,Yさんに対し,ベランダでの喫煙の差止めを求めることができるでしょうか。また,②Xさんは,Yさんに対し,損害賠償の支払いを求めることはできるでしょうか。
【事実】
(1)当該共同住宅は賃貸住宅であり,XさんもYさんも賃借人として居住している。ただし,賃貸借契約上,ベランダでの喫煙行為は禁止されていない。
(2)Yさんは,室内(賃借物件)のクロス等の変色を避けるべく,時折,ベランダにて喫煙している。
(3)Xさんが自室の窓を開けたとき,上記(2)の喫煙による煙がXさん宅に流入することがあり,この煙に対してXさんは強いストレスを感じている。また,Xさん宅のベランダに干している洗濯物に,上記(2)の喫煙による煙の臭いが付着することがあり,この臭いに対してもXさんはストレスを感じている。
第2 回答
1 ベランダでの喫煙行為の差止請求について
一般論としては,「生命,身体,名誉,平穏な日常生活を送る利益などの人格的利益が違法に侵害され,又は侵害される危険の蓋然性が高い場合には,人格権に基づいて,現に行われている侵害行為を排除し,又は生ずべき侵害を予防するため侵害行為の差止めを求めることができる」ということができます(東京地裁平成26年4月22日判決参照)。
しかしながら,実際に差止請求が認容されるための要件はかなり厳しいと考えられます。例えば,仮に,損害賠償請求が認容されるとしても,差止請求が認容されるとは限りません。より具体的にいえば,差止請求における「違法性」判断については,損害賠償請求における「違法性」判断より厳格になされるものと思われます(注1)(注2)。
そこで,ます先に,損害賠償請求における違法性について検討してみましょう。
2 損害賠償請求における違法性の判断
損害賠償請求の違法性判断に関しては名古屋地裁平成24年12月13日判決の事案が参考になります。
同判決の事案は区分所有者建物の区分所有者間のトラブルですが,居住者同士のトラブルであり,かつベランダでの喫煙禁止のルール(規則)が存在しないという点で質問事例に似ています。
Yさんの喫煙行為は,Xさんの社会生活上の受忍限度の範囲内といえるかどうかがポイントです。
名古屋地裁平成24年12月13日判決(出典:ウエストロー・ジャパン)より
「2 争点(1)(被告がベランダで喫煙をする行為が原告に対する不法行為となるか)について
(1) 自己の所有建物内であっても,いかなる行為も許されるというものではなく,当該行為が,第三者に著しい不利益を及ぼす場合には,制限が加えられることがあるのはやむを得ない。そして,喫煙は個人の趣味であって本来個人の自由に委ねられる行為であるものの,タバコの煙が喫煙者のみならず,その周辺で煙を吸い込む者の健康にも悪影響を及ぼす恐れのあること,一般にタバコの煙を嫌う者が多くいることは,いずれも公知の事実である。
したがって,マンションの専有部分及びこれに接続する専用使用部分における喫煙であっても,マンションの他の居住者に与える不利益の程度によっては,制限すべき場合があり得るのであって,他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら,喫煙を継続し,何らこれを防止する措置をとらない場合には,喫煙が不法行為を構成することがあり得るといえる。このことは,当該マンションの使用規則がベランダでの喫煙を禁じていない場合であっても同様である。