■マンション住民が併設保育園に入れない「不都合な真実」
マンション併設の保育園は、よく雨の日も傘いらずということがセールスポイントのようにいわれるのですが、再開発タワーマンションに新規で併設された認可保育所には、そこを買って住めるような高所得世帯の子どもは誰も入れず、マンション住民は1人も通っていませんでした~なんて、笑えないような話が、現実に起こりうるわけです。
知り合いの行政関係者に疑問をぶつけてみると、「いや、そういう制度だから。そもそも保育所というしくみ自体、福祉事業ですよ。貧しくて共働きをしないといけないなどの理由で、子どもの“保育に欠ける”世帯に、安くて良質な保育サービスを提供することが本来の趣旨ですから」という声が返ってきました。
最近のマンションは、開発に先立って地元の市区が、マンションデベロッパーに対して、保育所整備への協力(資金の拠出や、マンション敷地内への保育所の新設そのもの)を求めている事例が増えてきています(東京都江東区、台東区、川崎市など)。しかし、先ほどの話のとおり、たとえマンションと同じ敷地・建物に併設であっても、認可保育所ならば住民に優先権はなく、むしろ1人も入れないかもしれません。
一方で、保育所整備のためにデベロッパーが市区に払った費用は、当然マンション価格に上乗せされています。住民が確実に保育所を利用できるならともかく、間接的に整備費を負担させられたあげく、自分たちはそこを利用できないなんてことも起きうるわけです。なんとも腹立たしい話ですね。まあ、不動産業者は誰もそんな「不都合な真実」は教えてくれませんけどね。