長谷工コミュニティは、日本有数の管理会社であるが、同社の管理するマンションの一部に下記のような規約を原始規約に盛り込んでいる。
この規約に関する管理組合と組合員、占有者もしくは使用料を納付すべき者その他との間の訴訟については、次のとおりとする。
一 対象物件所在地を管轄する地方(簡易)裁判所をもって、第一審管轄裁判所とすること
二 訴訟費用および弁護士費用その他実費全額は、敗訴者の負担とすること
三 理事長は、区分所有法第26条第4項の定めにより、その職務に関し組合員のために原告または被告となった場合は、その旨を遅滞なく組合員に通知すること
一号について: 区分所有法の丸写しである。
二号について: 巷では賛否両論ある。この規定に反対でも物件が気に入っていれば購入するだろう。敢えて管理規約に盛り込むべき条項か判断しかねる。購入した者は、弁護士費用の敗訴者負担条項に同意したと見做される。
三号について: そもそも区分所有法26条4項の定めにより、理事長が原告または被告になった場合は、当然に総会が開催されるので、敢えて通知しなくても裁判のことは組合員に知れ渡る。問題は、民事訴訟法37条により理事長が原告または被告になった場合、理事長は組合員に対し、その旨を通知する義務を負わないと解され、秘密裏に裁判が追行される恐れも無きにしも非ずである。区分所有法の本旨を理解できない者が作成した瑕疵のある規定である。