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前スレが1000レスになっていたので、 Part2を立てました。
引き続きどうぞ!
マンション管理をしていく中で、困ったこと、聞きたいこと等を
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マンション管理士の方や建築士の方、管理会社勤務の皆さんも、質問に対して
真剣に答えていきましょう。
マンションの住民の皆さん、理事をされてる皆さん、どしどしご投稿ください。
[スレ作成日時]2014-07-04 12:31:08
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[スレ作成日時]2014-07-04 12:31:08
「保存行為」って何?
2016-10-07 09:00:00
テーマ:▼マンション管理
こんにちは! 廣田信子です。
先日、改正標準管理規約に関する勉強会で話をしたときに、
今回の改正で一番分かりにくいのは、「保存行為」に関することかもしれないと
改めて感じました。
法律の専門家や
少し区分所有法を勉強している人は、当たり前のように、
「保存行為」という言葉を使いますが、一般の人には分かりにくい文言です。
これまでの標準管理規約では、
この「保存行為」という言葉を使っていなかったのですが、
今回の改正で、「保存行為」という言葉が入りました。
「保存行為」という言葉は、区分所有法第18条(共用部分の管理)にあります。
区分所有法第18条(共用部分の管理)
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。
ただし、保存行為は、各共有者がすることできる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることができる。
(以下略)
「前条の場合を除いて」の「前条(第17条)」では、
形状や効用(使道)が大きく変わる共用部分の変更は、
特別多数決議(3/4の賛成)が必要だといっています。
この「①特別多数決議が必要な共用部分の変更」を除いて、さらに、但し書きにある
「②保存行為」も除いたものを「③狭義の管理事項」といい、
これは、総会の普通決議(過半数決議)で決めるとしているのです。
ちなみに、「広義の管理事項」というのは、昨日の記事で取り上げた「区分所有法第3条」
にある区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の「管理」を行う…
のこの「管理」のことで、①②③をすべて含みます。
なんて、区分所有法の説明なんて、図らずも書くことになっていますが、
「保存行為」なんていう言葉が、管理規約の世界に出没してしまったので、
雑ぱくですが、説明しちゃいました。
で、「保存行為」に話を戻すと、
「共用部分」の広い意味での管理行為の中で、保存行為」は、総会の決議がなくても)
区分所有者が行えるとなっているのです。
「保存行為」は、共用部分を現時点で維持するための行為と考えられています。
(法学者の先生によって、多少定義が違いますが…)
そして、「保存行為」は、バルコニー(専用使用が認められているが共用部分)の掃除
といった管理の中でも日常的な軽微なものを指すのが一般的ですが、
大地震等の災害時の緊急対応も「保存行為」の一つです。
この「保存行為」平時なら管理組合が対応すべき修理であっても
多くが避難中で組織的に動ける状態じゃないときやむを得ず、
区分所有者が共用部分の緊急対応をするそれも「保存行為」のひとつだと考えられます。
実際に、東日本大震災でも、マンションで漏水、壁の剥落危険等緊急事態が発生しているのに、
理事長も副理事長も避難中で連絡が取れないそんなときに、マンションに残っている
区分所有者はどうしたらいいかわからず対応できない…
という問題が発生したため、今回の改正で検討されたのです。
漏水をとりあえず止める、危ない壁を撤去すると言ったことは
すぐ対処しないと、被害が広がりかねません。
そのための緊急対応は、「保存行為」として、理事以外の区分所有者でもできるといっても、
勝手に修理したと責任を取らされたらと二の足を踏むことがあるのでそうならないような対応
が必要ではないかという課題があったのです。
勉強会では、
標準管理規約の第21条(敷地及び共用部分等の管理)で敷地及び共用部分等の管理に
ついては、管理組合がその責任と負担において行う…
とあるのだから、「保存行為」は、管理組合以外はできないはず…
という専門家?の発言もあり、
管理組合が組織として対応できない緊急時の話なのに…
れを言ってどうする?
と思いましたが、
「保存行為」についてはコンメンタールでも、日常の掃除や小修繕については書かれていても
緊急時の保存行為についてはあまり解説がないし判例もないので、いろいろな解釈があるのだと思います。
今回の改正では、
共用部分の「保存行為」は、原則区分所有者が行えず理事長にその権限を集中させ、
理事長が単独で行える定め方になっています。
区分所有者が行えるのは、
自分の「専有部分」とその使用に支障がある緊急性があるものだけと限っています。
「共用部分」はダメということです。
これについても、勉強会では、専門家?の方から「専有部分」の保存行為と「共用部分」
の保存行為がごちゃごちゃになっているような発言がありました。
そのくらい、「保存行為」という文言で何をやってよくて、何をやってはいけないかを
判断するのは難しいのです。
勉強会での管理組合の役員の方からの発言が、的を得ていたと思います。
「保存行為」なんていう言葉が突然出てきても具体的によくわからない、
管理規約には、具体的に分かるように書いてほしい…と。
解釈論でもめるような規約を定めるべきではないと私も心からそう思います。
標準管理規約は、「保存行為」としていても、各マンションの管理規約及び細則で
災害等の緊急時意思決定については具体的な場面設定をした上で具合的に定めればいいのです。
ただ、想定していないことが起こるのが災害ですから共用部分の「保存行為」については
区分所有者も行えるという区分所有法の原則のままでもいいのかな~と私は思います。
どんなに責任感の強い理事長でも、マンションにいないことはあります。
携帯電話が通じないことも。
理事長が不在のときは副理事長が…としていても、その副理事長も連絡がとれないこともあるのです。
理事長が陣頭指揮をとって緊急対応をしてくれる状況で、一区分所有者が、自らが共用部分の
緊急修理をしようというのは、あまり考えられないのかな…と。
で、被災地で理事長が決断できなかった場合、どうしていたかと言うと、管理会社が、
自らリスクを背負って、理事長からの指示がもらえなくても、緊急対応していた…というのが実情です。
まだまだ、緊急時に理事長や理事会がすぐに陣頭指揮とれる管理組合は少数派で、
多くのマンションでは管理会社に何とかして~と言っていくことになります。
管理規約の緊急時の合意形成の定め方も、管理組合の自立度と大きくかかわりがあります。
自分たちで使いこなせる管理規約にしてくださいね。
http://profile.ameba.jp/nobuko-hirota/