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最近の政治で気になるニュースは何ですか?
特に表には現れていないが密かに進む事案。
[スレ作成日時]2014-06-19 10:36:02
最近の政治で気になるニュースは何ですか?
特に表には現れていないが密かに進む事案。
[スレ作成日時]2014-06-19 10:36:02
「恐怖人事」のコワモテ菅首相でも制御できなかったコロナ対策のカギ
原田 泰 2021/09/10 06:00 ダイヤモンド・オンライン
Photo:PIXTAc ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo:PIXTA
人事権を武器に政権トップに上り詰めたが、新型コロナウイルス対策に失敗、支持率の低下などで退陣に追い込まれた菅義偉首相。霞が関ににらみを利かせコワモテで鳴らしたが、コロナ対策のカギであるPCR検査の拡大は十分にはできなかった。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)
経済優先だった菅義偉首相
ワクチンとPCR検査の成果を検証
菅義偉首相が9月3日、突然の退陣を発表した。さまざまな裏話や今後の総裁選挙をめぐる政局を中心に報道されているが、新型コロナウイルス感染症対応に限って、菅首相の政策を評価してみたい。
菅首相のコロナ対策は全体として、ワクチン接種、PCR検査、医療体制の拡充、治療法の開発、ワクチンパスポートの導入には積極的であった半面、非常事態宣言の発出、Go Toキャンペーンの停止、東京オリンピック・パラリンピックの無観客開催には消極的だったといえるだろう。前者は、経済を悪化させない、そして後者は悪化させるから、政治家として当然のことであったと思う。
ただし、緊急事態宣言の発出でかかる経済コストは数十兆円と莫大だが(原田泰「もし緊急事態宣言が再発令されたら、日本経済はどうなるか」本欄2020.7.8参照)、Go Toキャンペーンの停止やオリンピックの無観客試合は、経済を大して悪化させるものではない。
Go Toキャンペーンはそのための3兆円の予算の分だけ休業支援に回せば良かったし、無観客開催にしても数百億円の損失にしかならない。なぜ菅首相が消極的だったか分からない。
以下、菅首相が積極的であったか、少なくとも消極的でなかった対応策のうち、ワクチンとPCR検査についてだけ書くことにしたい。
ワクチン1日100万回接種は評価できる
インフルの4割増しにすぎなかったが
ワクチン接種については、首相の積極性によって1日100万回以上の接種が実現した。しかし、実は、日本は毎年インフルエンザワクチンを1日70万回打っている。2020年~21年では6356万回分のワクチンが供給されている(厚生労働省 平成30年4月11日第1回 医薬品医療機器制度部会「改正法の施行後5年を目途とした検討」「資料2 2020/21シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」)。
インフルエンザワクチンは10月に供給され12月までの3カ月間に接種される。すると、月に2119万回分、1日当たり70万回が毎年接種されている。通常の仕事の10倍をやれと言われては役人も困るが、必要な予算と人員の手当てがあれば、4割増し(100万÷70万)くらいの仕事はなんでもない。実際できてしまって、ワクチンが足りない状況を作り出した。
私は、役人が「できない」と言っていたのは、マスコミに「できない」と報道させて、実際にできれば首相の手柄になるから、わざと「できない」と言って、首相の手柄づくりをするという高度な忖度ではないかと思っていたのだが、どうもそうではなく、単に機敏に動かなかっただけのようだ。
厚労省が消極的なので、首相は、地方自治体を主体に接種体制を組んで(おそらく人脈と強い影響力を行使できる総務省を使ったのだろう)、自衛隊も動員して接種を加速させた(自衛隊の最高指揮官は首相である)。
十分に増えなかったPCR検査の回数
医師会も増やせといったのになぜ
PCR検査は、安倍晋三前首相の時代から増やせと言っていたが、増えなかった。感染症学者が嫌がっていたのだが、日本医師会はPCR検査の拡大にむしろ協力的だった。2020年4月中旬には、東京都医師会の尾崎治夫会長が、都などと連携して、保健所を介さずに検査ができるPCRセンターをつくり始めた。「自分たちでやるしかない」と考えたとのことである。
政治力があると思えない感染症学者が反対して、政治力のある医師会が賛同しているのに、なぜPCR検査が拡大しないのか不思議である。医師会がスポンサーの論文においても、「感染拡大を抑制するために、無症状者を含め感染者をできるだけ多く見出し、感染予防に努めるべきであり、そのためには、大規模PCR検査体制の整備が必須である。検査の対象集団としては、感染の可能性が考えられる人達……に加えて、市中感染が蔓延して有病率が高くなっている地域に対しては、地域住民を対象とした大規模PCR検査を積極的に実施すべきである。PCR検査の陽性的中率を高めるために、全自動PCR検査を……積極的に導入すべきである」と書いてある(田中真生・辻省次「COVID-19に対するPCR検査体制」2020-08-07 武見基金COVID-19有識者会議https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3344。なお、「このページは日本医師会のご支援により2020年度に作成されました」と注記されている。執筆した学者は、政府の感染症専門家よりアカデミックには高く評価されているようだ。Google Scholarによると政府の専門家より10倍くらいの論文がヒットする)。
“優等生”の他国より跳ね上がった陽性率
検査不足で感染者を取りこぼしている
下図1は、コロナ対応の優等生であるオーストラリア、韓国、ニュージーランド、台湾、日本(日本はこの中の劣等生)のPCR検査の陽性率(感染者数÷検査数)を示したものである。
これを見ると日本の陽性率が圧倒的に高い。感染症専門医の忽那賢志大阪大学医学部教授によると、WHO(世界保健機関)は「5%未満を維持すること」を推奨しているとのことである(「新型コロナの「検査陽性率」はどのように解釈すれば良いか」ヤフーニュース2020/12/13)。
ところが、日本は、2020年2月、4月、7月、11月から2021年1月、4月、7月以降と、7回も陽性率が5%を超え、2021年7月以降は2020年2月に続いて陽性率が20%となっている。陽性率20%とは、5人調べると1人は陽性であるということだ。素人が直感的に考えても、もっと調べればもっと感染者が見つかるのではないかと思う数字である(なお、この陽性率には自費検査で発見された感染者は入っているが検査数は入っていないので陽性率が高くなるという報道がある。「急上昇する陽性率、なぜ?東京22%、川崎は異様な高さ」朝日新聞2021年8月13日17時00分。真偽のほどについての政府からの説明はない)。
他の国は、感染者が増加して陽性率が高まると検査数を増やしている。下図2で検査数を見ると、ニュージーランドが典型であるが、陽性率が上昇すると、検査数を急激に増加させ陽性率を低下させている。感染者をあぶりだして隔離につなげているのである。
菅首相は、人事権を駆使して霞が関の役人を自由自在に動かせるとの触れ込みだった。それが危険だという反菅のマスコミ論調はあったが、私は、ワクチンの購入、接種、PCR検査の拡大に危険など何もないと思う。
自民党総裁選への出馬を表明した岸田文雄前政調会長は公約で、「健康危機管理庁」を新設するとしている。これはたぶん、よいことだろうが、首相が指示しても動かないことは、健康危機管理庁長官が指示してもやはり動かないだろう。日本の役人がなぜ動かないのか、その根源を突き止めないと、何も変わらないのではないか。