日銀は長期金利急騰を懸念、動かぬ債券市場が心配の種-物価反映せず
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4月24日(ブルームバーグ):経済・物価情勢が日本銀行の見通しに沿って推移する中でも長期金利は低水準にとどまっている。こうした中で、シナリオ通りに今後も情勢が推移した場合の長期金利急騰リスクに日銀が懸念を強めている。関係者への取材で明らかになった。
24日の長期金利(新発10年物国債利回り)は0.615%と、2013年3月とほぼ同水準で推移している。消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は当時と比べて約2.5ポイントも上回っているにもかかわらず、日銀の量的・質的金融緩和の下での巨額の長期国債買い入れによって、長期金利の水準は抑制された状態が続いている。
黒田東彦総裁はことあるごとに、日銀の長期国債買い入れが長期金利に対して強い下方圧力を加えていると述べている。しかし、関係者によると、日銀は長期国債を特定の水準に抑えることを目的としているわけではなく、経済・物価情勢が日銀の見通し通りに推移するならば、長期金利もそれを反映して緩やかに上昇することを望んでいる。
金利を低く抑えることで、景気や物価に対する刺激効果を期待する一方で、長期金利が何かのきっかけで急騰すれば、経済・物価にとって大きなリスク要因にもなりかねない。動かぬ長期金利と先々の急激な変動に対する懸念は、日銀のジレンマの表れでもある。
東海東京証券の斎藤満チーフエコノミストは「現在の長期金利の水準は妥当ではない。金利が跳ね上がるリスクを非常に心配している。今は日銀の大量の国債買い入れで長期金利を抑えつけているが、量的・質的金融緩和も、いつかは終わりが来る」と指摘。
その上で「実際に量的・質的金融緩和の出口に至らなくても、日銀がそろそろ出口に近いという雰囲気を醸し出しただけで、長期金利はかなり大きく跳ね上がる可能性がある。その時、日銀がこれをどう抑えるのか、想像できないくらい困難な状況になるだろう」としている。