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城西にあるDINKSや単身向けのマンション。
2LDKと1LDKのみで構成されているピンポイントの需要を狙った高級ブランドマンションの派生ブランドだ。
1LDKならばすぐに買える。だが2LDKとなると買えないことはないが、価格は一気に跳ね上がる。
年齢(42歳)イコール彼女いない歴の典型的なモテない男。そんな私の生存戦略は「安く1LDKでも買って、残った資金でそれなりに裕福に暮らそう。」だ。
だが私は出会ってしまった。
偶然入った熟女キャバクラ、2歳年下の彼女に。お互い独り身だが、私と彼女の人生はまるで違う。私は堅い仕事に就いたが、彼女はその美しさからだいぶ遊んでいたような印象だ。
だからこそ、40になっても水商売を続けているが、彼女は「それもまた自分の選択だ」と明るく前向きに生きている。
全く異なる人生を歩んできたが、私たちは今、少しづつ意識し始めるようになった。
いや、違うな。
私は既に、恋に落ちている。
そんな中、当該マンションで1LDKと2LDKが売りに出た。どちらも内装は綺麗であり、価格的にもこれまでの相場どおり。
彼女との生活を夢見て2LDKか、現実を直視し無難に1LDKか?
私は人生を振り返る。多くの選択肢があった中、常に消極的だが最も安全な道を選んできたように思う。
その甲斐あってか年収900万、金融資産は5600万にまで達した。億り人が増える中、決して経済的な成功者とは言えないが、それでも準富裕層だと密かに胸を張っているんだ。
私は今、大きな冒険をしようと心が傾いている。
「2LDKだ! 恋の行方がどうなろうと経済的に破綻はしない。幸せを掴むため、2LDKの一択だ! 彼女がダメでも次の恋だってあるかもしれないだろう?」
私の心が叫び、背中をグイグイ押してくる。
42歳、微妙に揺れ動く年代だ。
もう後戻りはできない、決してやり直せない。
だがまだ未来がある、そんな夢見がちな残酷な年代で、私は初めての青春を迎えたのだ。
恋と不動産の神様はなんて残酷なのだろう?
こんな高値相場でこの私に恋をさせるなんて!
密かに恋するオッサンの前に高値相場を突き付けるなんて!
私の心は揺れ動く。電車に揺られながら、今日もまた、揺れ動く。
君たちの湾岸タワマンは、浜風に煽られて常に揺れ動く。
人生とマンションは、恐らくそういうものなのだろう。