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1970~80年代にかけて放映された伝説の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」。オープニングのテーマ曲とともに新宿副都心の高層ビル群から顔を出す太陽は、高度成長期のシンボルそのものであった。それから約30年。都内では大型再開発が進み、丸の内や六本木、日本橋などは幅広い世代から支えられる人気エリアへと変貌を遂げた半面、新宿の競争力は相対的に低下した。
■競争力増す千代田・中央・港の都心3区
2000年以降、東京都心部では世界の都市間競争力を強化するため、都市再生が一気に進んだ。その主役は千代田・中央・港の都心3区。かつてのオフィス一辺倒ではなく商業施設、ホテルを組み合わせることによって、多種多様な層の人々が行き交う街づくりを実現しているからだ。
代表格は丸の内。従来はサラリーマンだけが行き交う街で土日は閑散としていた。しかし、丸ビルと新丸ビルが誕生し周辺の路面店群が整備され、大きな商業スペースが出現したことで様相が一変した。若者の街といったイメージが強かった六本木は、六本木ヒルズの登場によって家族連れが目立つようになった。新宿の“隣町”ともいえる渋谷駅周辺でも、東京急行電鉄と東日本旅客鉄道(JR東日本)、東京メトロの3社による大規模再開発が進んでいる。平成39年までに駅周辺だけで8棟の超高層ビルが出現する。実はあるカテゴリーで、新宿と渋谷はライバル関係にある。エリア別に見たIT(情報技術)企業の数で1位は渋谷、2位は新宿だ。しかし、数は渋谷が圧倒的に多い。また、大規模再開発ビル「渋谷ヒカリエ」にディー・エヌ・エー(DeNA)が本社を構えるなど有力企業が集積。それらが磁力となって周辺のビルには、取引のあるベンチャー企業が次々と入居するといった事象が顕在化しており、新宿を圧倒しているのが現実だ。
こうしたエリアに加え、今後確実に頭角を現すのが品川。JR東日本が田町~品川駅間に広がる車両基地を活用し、マンションや商業施設を備えた高層オフィス群を整備するのに加え、羽田空港の国際化や39年のリニア中央新幹線の開業によって、日本の表玄関として君臨する可能性が高いからだ。古くから大崎に本社を構えていたSONYが本社を品川に移転してからは、品川駅周辺にNTTのデータセンターや日本マイクロソフト本社、新興のIT企業の集積が進みつつあり、かつてIT企業が集まっていた新宿の存在感はますます低下しつつある。
■存在感薄れる新宿エリア
一方、新宿は「世界一、利用者の多い駅」とギネス記録に認定されており、1日当たりの乗降客数は約358万人に及ぶ。駅には山手線や中央線などのJR主要路線をはじめとして、小田急線や京王線など鉄道12路線が乗り入れ、深夜急行を除きバスは59路線が発着するなど圧倒的な交通インフラを誇る。それでありながら、存在感は希薄になる一方。街の活性化に向けて最大の切り札となるのが、32年の完成に向けて新宿駅で進められている、幅25メートルの東西自由通路の工事だ。
新宿駅は線路を挟んで東側と西側が分かれており、なかなか交流が進まない。その結果、歌舞伎町や新宿アルタ、伊勢丹といった著名な施設がある東口は遊んでショッピングする街、高層ビルが立ち並ぶ西口は働く街といった固定的なイメージができあがってしまっている。このため都内で主流の複合型開発は難しい。また、地上2階・地下7階の複雑な構造から「巨大迷路」「ラビリンス(迷宮)」と揶揄(やゆ)されることから、「日本語が分からなくてもスムーズに乗り換えができる駅」を目指し、バラバラになっている案内の表記の統一ルールを策定。駅の南口では28年の開設に向けて、バスやタクシー乗り場を1つに集約した複合交通ターミナルの建設が進められている。
■東京の競争力のカギ握る新宿
オフィスが集積する副都心地区では、テナント流出をいかに防ぐかが課題となる。現在のオフィス賃料は渋谷や池袋に比べて低い水準で、新宿から出ていく企業が増えた場合、こうした負のスパイラルに拍車がかかる可能性があるからだ。“三角ビル”という愛称でなじみがある地上52階建ての新宿住友ビルは、副都心のシンボル的な存在。ただ、築40年を超えているだけに改装の検討に乗り出した。具体的には公開空地には全天候型の屋根を設置したり、イベントホールの拡充を視野に入れている。西口側の高層ビルの多くは築30~40年を超えているだけに、同様の動きは続くとみられる。