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「タワマン=都心=高級」。今では簡単に解けるこの連想ゲームだが、当初は同業のデベロッパーの間でさえ「そんなものが売れるのか」と懐疑的な見方が支配的だった。
2004年に発売されたワールドシティタワーズ(東京・港)はタワーマンションの先駆的存在
当然かもしれない。本格的なタワマン時代を切り開くことになったワールドシティタワーズはその典型。04年5月に売り出したが、最初の評判は散々だった。何しろ場所が場所だった。住所こそ人気のある東京都港区で交通の利便性はあるが、実際は京浜運河に臨む流通倉庫街。スーパーも病院も遠い。
そんなところで総戸数2090戸を販売するという。挑戦だった。記者会見では「値引きした方がいいのでは」「生活インフラがない。全部、売り切れるのか」といった声が相次いだ。
しかし、予想に反して売れた。一等地である「スリーA」(麻布、青山、赤坂)並みの利便性を持ちながら、1坪(3.3平方メートル)あたりの価格はスリーAの半分前後の約240万円に抑えた。07年3月にはマルエツが敷地内に進出することが決まり、第1期販売分(400戸)は発売当日に売り切れた。
クルーザー着岸
住友不動産ならではの仕掛けも追い風となった。例えば運河に面した桟橋。12人乗りのクルーザーが着岸できる。これも住友不動産でなければできなかった芸当だ。
敷地の東側は海、北側には公園。住友不動産はここに目を付けた。マンションの敷地を海と公園をつなぐ避難経路と見なしたのだ。
敷地の東側の堤防に桟橋を建設すれば、災害時に海路を使い公園にいる住民を避難させられる。この理屈で東京都や港区などと折衝、桟橋の建設とクルーザーの常備を可能にした。クルーザーは居住者の共有で、普段は居住者が自由に使える。
住友不動産のタワマンは面白い――。こんな評判が広まり、これに景気の回復と低金利が味方した。マンション価格は高騰、第1期発売時に1坪あたり240万円だったワールドシティタワーズの価格も07年ごろには300万円に上昇した。
「1期に購入した部屋が値上がりしたので売却し、同じワールドシティタワーズの広い部屋を再び買った。また値上がりすれば売却を検討する」(都内の大手企業に勤務する50代の男性)。好循環が始まった。