ALCパネルについて、長谷工で技術者(現場所長も経験、阪神震災の調査も参加)をやっていた親族がいたので聞いてみた事があるのですが、
鉄筋コンクリート建物(先に出ているのは鉄骨の話です)の耐力壁以外の部分にALCパネルを使う事は耐震性には問題無く、損傷しやすいことも無いそうです。
理由は、力が加わる部分ではないことと、地震の揺れによる歪み損傷に対しては、鉄筋コンクリートは鉄骨に比べ歪みにくい上、パネルを敷き詰めず隙間(スリット)をつくり、間にシーリング材を充填して緩衝とすることで損傷を防げるからだそうです。
構造部分のコンクリートかぶり厚や配筋を多くしているか(歪みにくいかどうか)が、損傷の有無に関わるそうです。
板状マンションでの採用理由は、地震対策としてもあるそうです。
各地の地震被害調査から、中層マンションは中間階に損傷が集中しやすい事が分かり、原因の一つは上層階の重量でした。
ALCは湿式に比べると軽いので重量軽減になるそうです。
また地震被害の大小はコンクリート打ちの施工精度にも影響されるそうですが、湿式は高い施工技術が求められる一方、ALCは工場生産で現場で据え付るだけなので施工精度が安定する利点があるそうです。
施工可能な業者が多いので、発注費用軽減や工期短縮(湿式より速い)の利点もあり、耐震性を維持しながらコストを押さえるのは長谷工が請け負うクラスのマンションだとこの方法にならざるを得ないそうです。
それから、ALCをタイル張りにすると湿式壁にタイル張りより、建設と維持共にコストがかさむそうです。
ALCの弱点は水ですが、タイル下地に水分が含まれるので、下地処理工程が湿式より多くなること、ALCにひび割れなどから水分が侵入しないよう点検・補修する際にタイルを一度剥がさなければならないことが理由だそうです。
シーリングについてですが、20年というのは、屋上など直射日光や風雨に常に晒され続ける環境に置いた場合で、それでも一部の補修で済む話であり、ベランダには屋根があり、常に直射日光でも無いので異常が無いか点検だけしてれば基本打ち直しは必要無いものだそうです。
もし20年で補修が必要になったら施工不良を疑うべきで、それは保障の10年を過ぎても隠れ瑕疵に当り、施工者に責任を問えるものだそうです。
それから、簡単に施工できるという事は、震災後の復旧工事も早く安価にできる利点もありますよ。
あと、ALCは断熱効果が高く、冷暖房が効きやすいという利点もあるそうです。