本物件の売主であるプレサンスは創業20年足らずと新興であるにも関わらず,本社である大阪を中心に次々と新規物件を売り出して拡大を続けており,気になる存在ではありました。今般,チラシが投函されていたということもあり,モデルルームも近かったため,百聞は一見に如かずということで訪問してきました。
タイトル画像は,本物件敷地南側の生活道路から建築現場を撮影しています。
本物件の売主であるプレサンスは創業20年足らずと新興であるにも関わらず,本社である大阪を中心に次々と新規物件を売り出して拡大を続けており,気になる存在ではありました。今般,チラシが投函されていたということもあり,モデルルームも近かったため,百聞は一見に如かずということで訪問してきました。
タイトル画像は,本物件敷地南側の生活道路から建築現場を撮影しています。
今までモデルルームを訪問した中で,最も淡白であり,こちらから言わないと余り情報を教えてくれず,コンセプトルームも参考までに見せてくださいとお願いして見せてもらう形でした。これでようやく1時間半というところですので,普通に進めば1時間程度で終わってしまうのではないかと思います。
これはおそらく,営業をかける意思が乏しいことが原因かと思われます。実は12月ころから優先案内をしていたらしく,ほぼ申し込みが入りきっており,全戸40戸のうち,売り出せるのが6戸しかないということのようです。なので,焦って営業をする必要がなく,淡白だったのかなと思いました。営業担当者によると本物件は「勝手に売れる」そうです。
物件自体は長堀通に面しており,駅も近いのでやや雑然としていますが,宰相山公園に徒歩3分と近く,一駅分歩けば大阪城公園にもアクセス可能と,周辺環境は整っている印象を受けました。なお,真田山小学校は周辺でも評判がよく,真田山小学校に通わせたいという理由でコンセプトルームに訪れた顧客もいるということです。
先述したとおり,営業らしい営業はほぼありませんでしたが,地下鉄玉造駅徒歩1分という資産性の高さと,売却・賃貸需要も高いため安心との説明は受けました。JR玉造駅にも徒歩4分と2線利用可能という利便性の高さは評価できると感じました。
東側も雑居ビルのようなものが迫っているので,中層階くらいまでは抜けてこないように感じました。総じて眺望面は市内のマンションということで期待しない方がよいでしょう。
意外に感じたのがキッチンで,本物件では新築マンションではおおむね採用しているであろう,対面型のペニンシュラキッチンなのですが,最近ではキッチン部分全面に吊戸棚を設置するのではなく,レンジフードに隣接して小ぶりな吊戸棚を付けるにとどめ,開口部を広くしたキッチンにすることが多いと思われます。ところが,キッチン部分の上部全てに吊戸棚が標準で付くようで,珍しいなと思いました。こうすると,収納力は増しますが,一方で開放感や視覚的な広がりは犠牲になるため,一長一短あるところです。とはいえ,現在であれば竣工まで間があるので,吊戸棚をなしにする変更も可能とのことでした。女性目線で言うと視覚的な開放感よりも収納重視ということなのでしょうか。この辺りはどういう判断で吊戸棚を全面に設けたのか理解しかねました。
画像はBタイプの間取りです。
天井高は最大2400mmと残念ながら高さがありませんが,ボイドスラブ工法を採用しているため,全体的に下がり天井になっている部分が少なく,かつ,下がり方も2075mmということでひどい下がり方はしていません。加えて,各住戸プランともに間口がかなり取れている(ワイドスパン)であることから,居室全体の開放感は高いのではないかと感じました。
【外観及び共用部分について】
本物件がプレサンスロジェ森ノ宮のモデルルーム流用であり,コンセプトルーム扱いであることは先述しましたが,それにとどまらず,よくあるジオラマもないということでした。普段ですと,ジオラマはかなり綿密に撮影するため,拍子抜けするというか,えっ,ジオラマないんやプレサンスって…とカルチャーショックのような衝撃がありました。プレサンスは私の印象として,比較的価格が手ごろな売主という印象があったのですが,モデルルームを流用したり,ジオラマは作らなかったりという形でコストを抑えているのだなと感じました。ただ,ジオラマはかなり忠実に作っているため参考になる部分も多く,私は重宝していることから,ジオラマなし・コンセプトルーム,図面だけ見て想像して買いなさいというのはなかなか顧客に対する要求水準が高いなと感じました。
駐車場は8台分しかありません。市内中心部の立地なので,車はなくてもよいということなのでしょう。なお,平面式駐車場は設置されていません。駐輪場については,80台分と1戸当たり2台分確保されています。
ゴミ置き場は,マンション南側に2つに分けて設置されており,民間業者を入れているので24時間ゴミ出し可能ということでした。
ペット用の足洗い場はありますが,集会室はなく,植栽も気持ち程度しかありません。敷地がそこまで広くないのでやむを得ないですが,共用部分は必要最小限という印象を受けました。エレベーターは1基です。40戸しかないので,1基で十分でしょう。ディスポーザーも付属していません。
【価格帯・管理費】
価格や管理費は渡してくれなかったので記憶のみで記載しますが,売れ残っているのは3~4階の2部屋と,10階以上の4部屋でした。Aタイプは条件が悪いため,比較的売れ残っていますが,B・Cタイプは人気のため申し込んでも抽選になるといわれました。営業も抽選を避けたいのか,Aタイプの優位性をかなり露骨に説明してきて明らかに誘導だなと感じあまりよい印象は受けませんでした。
低層階の2部屋はかなり値段が安いですが,パンダ広告と言いましょうか,広告に3700万円台~と打つための,採算度外視した価格設定ということです。じゃあこの部屋に申し込み入れようとしても拒否するんですか(販売してしまうと,この割安な価格帯で客を釣れないので。)というといやそんなことはないと否定していましたが,納得のいく説明はありませんでした。
【総評】
価格や共益費関係は,プレサンスということもあって他社と比べると目に優しいと思われます。建物の質感も思った以上に悪くはないという印象を受けました。騒音の心配と周囲の雑然とした印象がやや気に入りませんが,駅徒歩1分,学校区もよい,その他の利便性も高いとなると総合的には優れていると感じました。
ただ,売主が急拡大している印象があり,きちんとしたアフターサービスや顧客対応をしてくれるのかというと疑問を感じます。モデルルーム訪問の予約をした時から名乗らなかったり,ちょっと待ってというのに保留にしなかったりと電話対応も雑な印象を受けましたし,営業を受けていてあまり物件のことを知らないのかもしれない(だから淡白?)と疑念を持ったりもしました。
画像は各階平面図です。
プレサンスとしては価格を安くして優位性を出し,どんどん販売攻勢をかけるというドミナント戦略を採用しているように思われます。往々にしてこのように急拡大している会社は,内部の実情が意外にもろかったりとほころびが出やすい面があるかと思われます。考え方次第ですが,投資用としてマンションを購入したり,不動産の購入経験が豊富ならよいですが,はじめてマンションを購入するという場合は,三井の横浜マンション杭問題の対処に見られたとおり,メジャーセブンやそれに準ずるような体力・信頼性のある売主を選んだ方が無難かと思われます。売主をどう見るかというのがポイントではないでしょうか。
最後までご覧いただき,誠にありがとうございました。