【モデルルームの場所・当日の流れ】
モデルルームは,国道25号線沿いの,天王寺駅とマンション建設地のちょうど中間くらいに存在します。最寄駅は近鉄南大阪線の河堀口駅で,歩いて5分ほどの距離でした。とはいえ,天王寺から1駅乗るだけで160円かかるのも惜しい話ですし,実際に住むとなると歩いて天王寺駅まで行く機会も多いと思われるので,周辺状況を知る上でも,天王寺駅から国道25号線沿いに歩いて向かうのがよいと思います。天王寺駅からモデルルームまでは,成人男性が速足で歩いて11分ほどで到着しました。
流れについてですが,アンケートの記入~ヒアリング~物件概要の説明~ジオラマ見学~モデルルーム見学~資金計画及び今後の予定を説明し,終了という形でした。時間としては2時間半かかりました。
【物件概要について】
本物件は,パナソニックの完全子会社であるパナホームが売主,施工は長谷工の子会社である不二建設,管理会社はパナホーム・合人社コミュニティという陣容です。なお,マンションの営業(販売)はパナホームが行っているわけではなく,アイ・フラッツという大阪が本社の会社に委託(悪く言えば外注,丸投げ)しています。そのため,営業の力量で言えばメジャーセブンのように製・販・管一貫方式ではないので劣ります。実際,説明を受けていて,あーマニュアル営業やな~と感じました。ちなみにアイ・フラッツ自体もアイ・ディールというブランドでマンションデベロッパーのようなことも行っているようです。
施工が不二建設のため,親会社長谷工にならって規格型大量販売の廉価版ファミリー向けマンションというのが実際のところです。
写真は,営業用資料として作成されたと思われるペライチです。アピールポイントがまとまっていたので掲載します。
特色としては,販売価格の安さでしょうか。総戸数としても15階建ての126戸あるのでスケールメリットはきいていると思われます。管理費・修繕積立金も比較的安価です。
価格面の優位性に加え,周辺が文教地区であり,府立高校でもトップクラスの偏差値を誇る天王寺高校や,国立ですが同じくトップクラスの偏差値を誇る大教大付属天王寺高校(中学校や小学校も併設)が近く,教育環境が整っていること。義務教育の学校は高松小学校→文の里中学校であり,文の里中学校は市立中学校の中でも高い評判を誇ることを非常にアピールされました。営業の内容を見ても,本物件のメインターゲットは将来子育てを考えているDINKS及び現に子育て中のファミリーであると判断できます。
文の里中学校は,常盤小学校と高松小学校の児童が通うことになりますが,常盤小学校の方が評判はよいようです。とはいえ,常盤小学校の定員は人気集中により飽和状態で,教師一人当たりの生徒数で考えると,高松小学校の方が先生の目が行き届く範囲であるからむしろその点で常盤小学校よりも優位であるとの説明もなされました。人数で言えば,常盤小学校は全校生徒800人,高松小学校は400人とのことでした。調整区域のように越境できるのか聞いたところ,越境入学は不可とのことでした。
高松小学校では,学童保育があり,放課後から18時まで見てくれるという案内もありました。学童使用料は年間500円だそうです。小学校1年生から4年生までが優先ですが,枠が余っていればそれ以上の学年でも受け入れているとのことでした。また,土曜日も学童は利用できるようなので,共働きにも安心という説明でした。
このように,大阪市内中心区のマンションモデルルームに見学に行くと,必ず話に上がるのは小学校・中学校区の話題ですが,個人的には意味のある話題とは思えません。
というのも,基本的に市内中心区のマンション価格や賃貸価格は府内の他地域と比較して相対的に高額となるため,親の所得がある程度確保されていないと市内中心区には住めず,親の所得が高ければ,子の教育水準もある程度担保されるのは経験則として理解を得られるところだと考えます。
そうすると,市内中心区の公立学校には,他の地域と比較して教育水準や文化的資本の蓄積がなされている児童・生徒が在籍している割合が多いと推測されるので,市内で公立学校の学区の良さを比較しても,五十歩百歩で実益に乏しいというのが私の考えです。
であれば,本物件の営業が言うように,人気が集中し定員目いっぱいの学校に通わせるよりかは,教員の目が届きやすい学校に行かせる方がよいという説明には説得力があると感じました。
学校区の話はここまでとして,本物件の用途地域は一種住居です。ある程度住環境が維持されるというのはメリットであると考えます。最も近いスーパーはカナートモールで徒歩4分,ほかに食品館アプロが徒歩7分,スギ薬局は徒歩6分,コーナンまでは徒歩9分です。天王寺まで出ればそれこそ何でもそろうので,買い物の利便性は高いと言えます。
なお,天王寺駅までのアクセスについて詳細に説明を受けました。電車の場合は河堀口駅まで徒歩5分,電車で一駅2分です。河堀口には普通電車しか止まりません。間隔は10分に1本です。
自転車の場合は5分で着きますが,天王寺駅周辺の公営自転車駐輪場の定期利用はなんと2年待ちとのことです。その間どうするのかというと,一時利用券を購入してしのぐか,民営の駐輪場を探して見つけるしかありません。利用券を毎朝買うのが面倒であれば,20枚つづりの一時利用券があるのでそれを利用することになると思います。
バスの場合は,バス停まで歩いて2分,バス乗車後4分で天王寺に到着とのことです。徒歩の場合は,15分かかります。
高松小学校までは徒歩6分,文の里中学校までは徒歩9分です。高松小学校へ行くには国道25号線を越える必要があり,歩道橋があるから大丈夫との説明を受けましたが,幹線道路を渡らせるのは親御さんとしては不安要素かなと感じました。
保育所の入所状況についても説明があり,待機児童が発生しつつあるのが現状だそうです。ただし,東隣の東住吉区まで越境すれば余裕があるそうなので,場所を選ばなければ入所できるだろうとのことでした。
【本物件の立地状況について】
本物件の元地ですが,化粧品会社の倉庫だったそうです。化粧品会社の移転に伴い用地売却の話が出たところで,競争入札によらずパナホームが対面で取得したため,土地の取得経費が安価で済んだとのことでした。本物件の坪単価は平均190万円とのことなので,確かに用地取得額が抑えられたことも販売価格が安価な理由の一つには挙げられるでしょう。
本物件の立地ですが,北に国道25号線,東に府道26号線と接しており,西・南も生活道路のため,パンフレットでは4面接道の開放敷地であることを強調しています。それ自体は事実ですが,接道する道路状況に問題があります。
画像はランドプランです。意図的?かはわかりませんが,ぼやかされている北側(画像で言うと上)が25号線,同様に東側(画像右側)が府道26号線です。植栽が比較的多いことが見て取れるのと,植栽の樹木選定について記載されています。
国道25号線ですが,端的にいって車の往来が激しく,騒音や排ガスは相当であると考えます。また,大型トラックが頻繁に走行することもこれに拍車をかけています。この理由として,天王寺~東部市場前間にJR貨物の百済駅が存在しており,広大な敷地が貨物の線路・貨物置場になっているのですが,JR貨物のコンテナを搭載したトラックがコンテナを搬入するために国道25号線をよく利用するのです。また,百済駅はうめきたの開発に伴って貨物機能をさらに強化されたことから(うめきたは元々梅田貨物駅であったため,貨物機能を移転させる必要があった。その移転先が百済駅),以前と比較してその頻度は高くなっていると思われます。百済駅の貨物機能が増強される以前,平野区に住んでいたので国道25号線を走ったり,JR貨物の様子を見たりしたこともありますが,大型トラックの走行のためか,交通量の多さのためか,25号線は補修を繰り返しており,道がガタガタであったことが思い出されます。
また,東の府道26号線は現在開通に向けて用地買収と既存建築物の撤去を順次進めています。現在は開通していないため府道にしては交通量が乏しいですが,開通に至れば交通量の増大は必至と考えられます。
そこで,25号線の現状の騒音と,府道26号線の将来的な騒音,排ガスによる公害の点で立地に難があることを指摘したところ,北側及び東側についてはセットバックして植栽を施すことにより対策を図ったことと,T2相当の防音サッシを使用により対処した旨を説明されました。また,マンション外壁には光触媒タイルを使用しているので,排ガスやそれに伴うチリやほこりといった汚れが付きにくいから,メンテナンス費用も抑えられ,ひいては将来的な資産価値の維持に寄与すると説明されました。
ランドプランとしては,南棟と東棟の2棟構成で,南棟は南側バルコニー,東棟は東側バルコニーであり,南棟はまだいいとしても,東棟はどうするねんと正直なところ感じました。タイルは汚れにくいかもしれませんが,洗濯物は汚れるでしょう。外で干さなければよいのかもしれませんが…。
個人的には,T3のサッシにしてもよかったと思います。モデルルームは前述のとおり国道25号線に面していますが,営業を受けている間トラックの走行音やガタガタ揺れる振動を如実に感じました。騒音について,やや軽視しているように感じました。
なお,電車音と車の走行音についてはどちらがよりマシか度々話題になりますが,私は断然電車音の方がマシだと感じます。実際に比較して感じましたが,電車音は規則的ですし音の変化が少ないです(加減速のタイミングが,電車の場合は一定の区間でおおむね決まっていると考えられるため。)。一方で車の場合は,ドライバーによって速度やアクセルの踏み具合,それに伴う車のエンジン回転数もまちまちです。走行車種も無数に存在します。電車と違って不規則な騒音で,音の大きさも一定ではありません。電車音については慣れやすいでしょうが,車の走行音にはなかなか慣れないでしょう。また,本物件は国道と府道の交差点に面しているので,信号のない直線道路と比較してもなお条件が悪いです。停止した車はアクセルをふかせますし,加減速のタイミングになるのでより雑然とした走行音になるためです。
ジオラマ上,透明の建物は既存建築物等です。本物件の南側には先行して分譲したパークナードリアンが存在し,こちらのジオラマも作りこまれています。リアンは14階建てとのことであり,南棟の一部分の眺望を遮っています。本物件の立地条件で言えば南西角がもっとも騒音・排ガスの影響から免れるため条件はいいはずですが,リアンがそびえているので眺望は15階にならないと抜けないというジレンマを抱えています。
リアンの影響を受ける住戸タイプを確認したところ,南棟のA~Cタイプが影響を受けるとのことでした。リアンとはおおむね20mほど離れているため,日影シミュレーションによると冬至の際は低層階が1~2時間程度陽が射さないものの,他の季節については問題ないとのことでした。
画像手前側が既分譲のリアン,奥側が本物件です。
【価格帯・管理費】
価格についてですが,モデルルーム訪問当時,第一期販売が始まっているにも関わらず,いまだ予定価格「帯」であることと,予定価格帯表は渡していないので,自身でメモするように言われました。また,営業が退席する際に,価格帯表も同時に下げることを徹底していたため,情報管理に厳しい印象を受けました。
価格帯表を私自身で記載させられたため,不愉快であったことから殴り書きに近いですが,参考までに掲載させていただきます。
全般的には安いとは思いますが,コストパフォーマンスがよいかといわれると,価格に応じてコストカットしている部分も目に付くため,お買い得感はないと感じました。
一方で,共益費関係はかなり安価ではないかと思われます。長期修繕計画について確認すると,修繕積立金について,5年後に1000円上昇,8年後に1000円,11年後に1000円上げて,そこからの上昇は考えていないそうです。現時点からわずか3000円しか上昇しないというのは,これを額面通り受け取ってよいとすれば(見積もりが甘く,後々一時金を徴収したり,又は修繕積立金を増額したりする可能性もあるから。),物件の維持コストが抑えられているということで評価できます。