【予定価格帯・管理費】
価格帯についてですが,低層階での上げ幅が激しいです。低層階で1階上がるたびに200万円程度プレミアが乗ると考えればよいかと思います。
なお,予定価格はゾーニングで出されましたが,聞けば詳細な価格を教えてくれました。手書き部分は,担当者から聴取して私にて書きつけたものです。
先述のとおり,低層部分については既存建設物と競合する面があり,1階上昇することによるメリット(眺望と採光がよくなっていく。)が多いと言えることから,その価値を価格面に反映させ,低層階での上り幅を大きくしたという説明でした。
一方で,7階以上の階差プレミアは数十万円程度と抑えられています。これは,これ以上階数を上げても得られる眺望や採光にそこまで差がないためです。もっとも,13階と14階では最上階の特別感を出す意味で価格差は大きいそうです。
価格設定については,本物件の隣接状況を考えると相当と言えますが,マンションを見学した中での経験則としては,低層階での階差プレミアは抑え,高層階では階差プレミアを乗せる物件が多いかと考えます。
そういう観点でいうと,本物件は低層階での価格の上がり方が大きく,お得感を感じにくいというか,お手頃感のある住戸の提供ができていないのかなと感じました(変な例えですが,かつての大阪市営地下鉄の初乗り運賃が200円で,JRの初乗り運賃120円と比べると,短距離乗るだけやのになんか損した気分やなぁ…という気持ちに近いものがあります。)。
プランごとの価格設定について北東側は多少安いとのことですが,どのプランもほぼ差が出ないように設定したそうです。併せて現在の販売動向を聞いたところ,各タイプ分散して興味は持ってもらえているようだとのことでしたが,どちらかといえば等しく販売に苦戦しているように思われました(総評部分で述べます。)。
管理費等ですが,最も安いCタイプでも約2万5千円という設定です。共用施設がほとんどないのに,この管理費と修繕積立金はやや高くないかと指摘したところ,要旨次のような回答を得ました。
「管理費は高いが,その分野村不動産パートナーズの管理には定評があり,管理費に見合ったサービスは提供している。また,この辺りに物件を買う人は,管理費等の部分は余り気にせず,物件さえよければ購入される傾向があるので,そこまでの問題はない。」
また,今後の管理費等の増額予定を確認したところ,予定はあり,管理説明会で確定した金額を提示するということでした。元々の価格が高めなので,いずれは管理費と修繕積立金で,月額4万円ほどの支払いとなりそうです。
教育環境としては抜群で,駅から離れているので静ひつな環境と,周囲にそこまで高い建物がなく,比較的眺望と採光が期待できる点(特に,東側については非常に抜けています。)は評価できますが,駅やスーパー,コンビニといった施設からは距離があり,利便性が優れているとは言えません。
結論からすると,マンション自体に,販売価格に見合う価値はないと思います。しかしながら,部屋そのものや,マンションそのものを買うというミクロな視野でなく,周辺環境や立地がいいから買うというマクロな視点で見ると,購入する余地はあるかもしれません。立地・環境を重視され,このエリアに住むことにこだわりやステータスを感じられる方には,本物件はおすすめです。
私自身としては,どうしても購入に値する物件とは感じられませんでした。
担当者に以上の感想と現状では購入可能性は低いことを告げると,私と似たようなことを言った訪問客がいたのか,一瞬(こいつも他の客と同じようなことを言いよった…。)という表情が走ったように見受けられました。
プラウド南堀江を訪問したときは,モデルルームに活気があり,担当者も物件の問い合わせ状況や顧客の反応に手ごたえを感じている様子で(実際,モデルルーム一般公開前にもかかわらず,見せられた価格表には既にかなりの住戸に購入申し込みが入っている状況でした),注目度の高さを感じたのですが,一方で本物件ではほかのブースでも商談が盛り上がっている様子は見受けられず,担当者の説明や態度を見ても,販売に苦戦しているのではないかと感じられました。とはいえ,41戸しかないので何とか売り切るのでしょうが…。
ランドプランを見ても分かるように,やはり敷地形状がいびつできれいじゃないですし,そういう制約の多い敷地に,何とか工夫を凝らして建設するのが本物件なのかもしれません。それが結局居室空間の余裕のなさにはねかえっているのでしょう。
いかに野村不動産のプラウドといえども,敷地等の制約が大きければ,必ずしも優れた設計・建築にはならないんだなと勉強になったモデルルーム訪問でした。
非常に長くなりましたが,最後までご覧いただき,本当にありがとうございました。