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12月末から出現し、的確なアドバイスを下さるゼネコンボーイさん。
毎度感心して記事を読ませてもらっています。
そんなゼネコンボーイさんとQ&Aをするコーナです。
みなさま質問をどうぞ!
[スレ作成日時]2006-01-06 01:34:00
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[スレ作成日時]2006-01-06 01:34:00
>床衝撃音について その1 測定方法と帯域分割
まず、上階(加振室)で床を直接に加振するような振動源があるときの、下階(受音室)
の部屋で聞こえる騒音のことを床衝撃音と呼び、遮音性は受音室の音圧レベル測定した
もので、この値が低いほど遮音性がよいとされます。実際に測定する際には、重量衝撃源
として、小さなタイヤを振り下ろすバングマシンと、鉄製のピストンのようなものを連打
させるタッピングマシンを上階の床にセットします。それぞれ、子供の飛び跳ねる音、
ハイヒールの歩行音がモデルとされます。上階の部屋に対角線を引き、それぞれの4分点
を取り、通常2分点は一致するので、全部で5点を代表点として加振点にします。下室の
受音室では同様に代表5点を設定し、受音マイクの高さを変化させて5点で測定します。
ある加振点での各受音点における音圧レベルは、一端エネルギー値も戻して、平均値を
とるので、どこか悪い値があると、それに引きずられますが、加振点ごとのエネルギー
平均された音圧レベルを部屋全体の値として評価する際は、エネルギーの対数値である
レベル値の算術平均でよいとされています。
このときの、音圧レベルは床衝撃音レベルの等級を判定する際は、1/1オクターブバンドで
区切りその中心周波数で各バンドを代表させます。それが重量衝撃音では、63Hz、125Hz、
250Hz、500Hzまでの評価とし、軽量衝撃音ではさらに、1kHz、2kHzまでを測定対象と
します。つまり、各帯域の音圧レベルは、63Hz帯域では、62.5/2^0.5〜62.5X2^0.5=44.2
〜88.4Hz間の音圧エネルギーの積分平均値になります。人の可聴域が20Hz当たりと
言われているので、まずまずそのはじまり部分からスタートしています。
>床衝撃音について その2 レベルと決定周波数
この測定された音圧の常用対数の20倍が衝撃音レベルの値とされますので、音圧が2倍
になると、20log2=6dB違うことになります。(エネルギーは音圧^2なので、3dBの違い
でエネルギーは倍になっています)この辺の状況を反映してか、床衝撃音のレベルを5dB
で分割して、レベル表示します。その際に、500Hz帯域のレベルを規準に全帯域が55dB
以下の場合をLH55と呼びますが、低音域では音圧が高くても他の音域に比較してうるさ
くないという指標を人工的に作成し、63Hz帯域では−23dB、125Hz帯域で−13dB、250Hz
帯域では−6dB、500Hz以降は調整なしで規準化します。これらすべてが、55dB以下の
場合にLH55の等級をなのってよいとなっていますが、現場測定の場合は各種誤差を含む
ので、2dBまでの超過を認めています。橋本先生の計算シートにもあるL数表示というの
は、等級評価をする前の各帯域の最大レベルを整数表示したものです。これが整数表示と
なっているが故に、実際は2.4dBの超過でもOKとして等級評価している実測報告書が
ありますが、これは邪道です。最大レベルを持つ周波数帯が「決定周波数」と呼ばれ、
重量衝撃音では大半が63Hzで決まり、次に125Hzで決まることがほとんどです。
>床衝撃音について その3 軽量衝撃音を決めるもの
また、軽量衝撃音の場合は、125Hzか250Hzが決定周波数となることが多くなります。
これは、通常の床仕上げで500Hz以降は4ランク(20dB)以上低減され、二重天井も
1ランク(5dB)程度低減する効果を持つからです。よく、軽量衝撃音は仕上げで決まる
とかいいますが、仕上げが及第点であるときは、次には>>191で示したスラブの基本
インピーダンスレベル(正確には、無限大板の駆動点インピーダンスと呼ぶ)が大切に
なります。
「達人」の「安心して生涯住めるマンション一発判定、双葉社2004.11」に、「軽量衝撃音
に強い二重床は可変性にも対応」の項目がありますが、GBの実感としては、300mm程度
のボイドスラブ+直床の方が容易にLL40〜45を達成できると思います。この直床を二重
床に切り替えても同様なものでしょうが、直床の方が際根太等の取り合いがない分、性能
も安定するようです。また、直床と二重床の軽量衝撃源での得手不得手のあることは、
「今どき直床スレッド169.」で説明しました。先の本で勝手にボイドスラブは8割の性能
とされているので、先の基本インピーダンスが同等になる厚さを述べると、通常スラブvs.
ボイドスラブ表示で、200-225、225-250、250-280、275-310ぐらいので、1割ぐらいの
厚さアップで同等の性能になります。これで、対比した通常スラブよりは1割以上軽くな
るので、使用する価値がある訳です。
>床衝撃音について その4 重量衝撃音を決めるもの
これはスラブの性能がまず大事ですので、先の基本インピーダンス値が高いことが
ポイントです。決定周波数となる63Hz帯域では大梁固定による端部上昇効果を受けるで、
対象とする部屋の拘束条件が大事になります。この端部上昇は対象とする周波数がスラブ
を伝搬する際の曲げ波の波長を規準として、0.2以内の範囲で大梁に近い程、上昇量も多く
なります。中心周波数が63Hzの場合で、スラブ厚さで変化するものの、この0.2以下=
約1mの範囲です。先に対角4分点による5点での測定点を述べましたが、測定点がこの
範囲に入ると、端部上昇の恩恵を受けます。一般に個室ではこの5点の内3点が梁際に
なるので、レベルが低く、居間では部屋も広く大梁からの距離も離れるので、レベルは
高めになり、個室の方の測定値がよくなる傾向を持ちます。それでは、この端部上昇の
恩恵を受けない範囲での加振点は皆同じ値になるかとういうと、加振点ごとにどの
モード(スラブにおいては、固定端間における弦状振動のことで、1次モードが波一つ
の単振動、n次モードが波nヶの振動)が卓越するかで違ってきます。一般にスラブ
中央点での打点が1次モード振動を一番励起するので、値も一番悪くなると想像されます。
>>211.らむださん >>212の方へ
>拡散度法の考え方
まず、「戸境壁から戸境壁の距離」を間口と呼び、バルコニー壁から廊下壁や反対側外壁
までを奥行と呼びます。これでラムダさんは間口をいろいろ変化させてL値の変化を
見ました。先に学会本の大梁で囲まれた面積と予想LHの表が間違いであることを述べ
ましたが、それを実証したのが橋本先生です。スラブの面積が大きくなれば、中央たわみ
はその分大きくなるが、それは静的なことであり、動的な振動状態では、むしろ面積が
広い方が、無限大板に近くなって、多くの振動モードが拡散状態で存在することになり、
下室への音響放射はむしろ小さくなることを示しました。一つの周波数帯の中に、どの
程度の共振モード数が含まれるかで、そのモード数が多い状態を拡散度指数という式で
表して、床衝撃音を解明したものです。これは本計算法を開発当時、ゼンコンから多くの
実測データを収集して、従来のインピーダンス法による予測手法と比較しての結論です
から、間違いないと思われます。
>拡散度法の精度と課題
拡散度法の予測精度はプラスマイナス5dBの間に95%の実測例が入るとしています。
本算定方法も理論的に導いた部分と、単純支持状態から周辺固定状態への評価など、やや
「ざっくり評価」の部分があるので、完全ではないのですが、大きな指標としては非常に
有意義な計算法です。
GBの感じる欠点としては、63Hz域における端部上昇評価がすべての測定点において
ゼロで返されることが多いことで、この辺は現地実測にそぐわない点だと思っています。
よって、現状の拡散度法での値は個室の面積で余り値が変化しないと思いますが、
実測では2辺拘束の部屋は面積が小さい程よい値になります。(部屋の平面サイズに
よって、内部の空気音がモードを持つ場合はまた変動しますが)
先に計算された居間の計算では、測定点は間口6m以上では端部上昇の1mは超えて
いるので、端部上昇効果での変化はないでしょう。
>他の要因で、必ずしも実測値は拡散度法の要求どおりにはならないが、
>「スラブ面積が広いと悪くなる」という常識は間違い。
>その証拠に、剛性の高いボイドスラブでの大スパンスラブはかなり普及している。
先に述べた拡散度法の端部上昇評価の部分を改良したいのですが、もともと数学が苦手
で建築に進んだGBとしては、拡散度法における各種理論式の導入等、難解な高等数学式
の羅列で全くついていけません。