長文の書き込みです。失礼いたします。
この千葉湾岸地域に過去に液状化はあった。
これは紛れもない事実です。
土地の少ない日本では、
埋立地の有効利用は自治体でも重要な課題のひとつです。
お台場・有明しかり、神戸、名古屋、大阪など
大都市の湾岸はほぼ埋め立てと言ってよいでしょう。
稲毛海岸の海は日本最初の人工海岸として知られていますが、
千葉湾岸地域は埋立地としてそれだけ古く、ある意味歴史があり、
埋め立て技術が発達途中に作られた場所ともいえます。
(日本に限らず、海外でも年々埋立地は増えています。
最近でもっとも有名な埋立地はドバイでしょうか。)
よって誰かが指摘した通り、昭和62年には地震のため
一部の千葉湾岸地域が液状化を起こしました。
では、この千葉湾岸地域は今後もずっと安全な場所とは言えないのでしょうか?
答えはノーです。
なぜなら、液状化対策の技術はすでに完成されているからです。
大手産業機械メーカーや多くの地質工学関係者を中心に
日々調査、研究、実験が行われています。
(こういった研究は1964年の新潟地震後から特に活発になりました)
液状化はその工法や地層に問題があるのです。
専門的なことは興味のある方に個別に調べていただくとして、
おおまかな話を記します。
液状化(流動化)が起こりやすい地層とは、「ゆる詰まりの砂」の地層です。
こうした地層で地下水面が地表付近の浅い深度にある時、
それが液状化を起こす要因となります。
地震時に急激に高まった地価水圧が、ゆる詰まりの砂を粥状に溶かし、
液状化(流動化)することで構造物などはその支持力を失い沈下します。
つまり液状化を阻止するには、この
①ゆる詰まりの砂を締め固める
必要があるのです。
この場合固める「度合い」がこの液状化対策の肝となります。
(この度合いを測るのに、新潟地震の経験が土台になっています)
また、
②地震時に地価水圧が高まらないよう地下水が逃げる場所を作り
水圧を分散、消散させる。
③浅い地下水面を深く下げる。
も重要です。
上記のような対策を講じれば、液状化(流動化)は防ぐことは可能です。
近年作られている埋立地はすでにこういった対策を打っている事でしょう。
少し余談ですが、
これまで砂を固める方法はいくつかありました。
その中でもバイブロフローテーションで地盤改良された地層は、
新潟地震ではまったく被害をうけていないことがわかりました。
この事実が液状化対策工の先例となったわけです。
阪神淡路大震災時、ポートアイランドの市街中心部では、
エリアでの沈下量の違いは、そのまま液状化対策工の有無と一致していました。
対策を行わなかったエリアでは平均で40〜50cmの地盤沈下がみられました。
もちろん工法によって差はあり、対策後も15cmほど沈下したエリアから
ほぼ沈下なしというエリアが存在しています。
さて、話を千葉湾岸地域に戻しますが、
この地域も液状化対策を考えて作られた埋立地です。
ですがいろいろな誤りがありました。
では、以前起こった液状化は何が大きな要因であったか。
それはすでに調査され、答えは出ています。
幕張の浜にある埋立地を仕切る護岸堤防を作るためのシートパイルの存在が、
地下水流動を阻害し、液状化しやすい環境を作っていたのです。
これは大規模構造物への配慮が、逆に周囲の土地に悪影響を及ぼした悪例です。
皮肉なことに護岸より海側の人工海岸には液状化は起こらす、
陸側では液状化が起こってしまったわけです。
マンションコミュニティでこのような話もあれですが、
現在の千葉湾岸地域の液状化でまず心配しなければいけない場所、
それは大規模構造物ではなく、一軒家などが集中した小規模構造物です。
もちろん小規模構造物に対する液状化対策もすでに確立されています。
そしてマンションを建設する側は自身の建物のみならず、周囲への配慮が必要です。
売主さんにはその件も踏まえて聞いてみることも良いかと思います。
(施工主さん)
地域あっての生活です。
マンション購入をきっかけに地震対策や環境問題を考えるきっかけになるといいですよね。
自分自身にも強くそうありたいと思います。
そして千葉県には一刻も早く、この液状化対策についての予算を割き、
まだ対策未着手の土地を含め湾岸地域すべての対策工に着手することを願います。
長々と申し訳ありません。もしこの書き込みが何かの参考になれば幸いです。
ライフラインについてもいろいろな対策はありますが、また機会がございましたら
書かせていただきます。お読みいただいた方、ありがとうございました。