「おなかがすいたよう」
と、キツネが森の中を歩いていました。
すると、甘くておいしそうなブドウがブドウだなからたくさんぶら下がっていました。
キツネは、なんとかして取ってやろうと思いました。
でも、ブドウ棚は高くてどうしても手がとどきません。キツネは、
「あのブドウは、甘そうに見えるけどまだすっぱいのさ、
あんなブドウを食べなくて本当に良かった」
と、ひとりごとをいいました。
ブドウが取れずにトボトボと家に帰る途中、
キツネは道端に落ちていた一個のレモンを拾いました。
このレモンを手に取って、キツネはこう思いました。
「このレモンは、レモンにしてはなんだ甘そうじゃないか。」
キツネはレモンに噛り付いて、「やっぱり甘くておいしいや。
さっきのブドウよりこっちの方が甘いに決まっているさ♪」
酸っぱくてたまらない顔をしてひとりごとを喋りながら家に帰って行きました。