2007年の最後のコラムになり,今年の分譲マンションを振り返ってお話致します。
2007年前半,マンション業界は昨年から続いた「不動産バブル」に乗じてかなり高い値付けで売り抜け
多大な利益を確保したディベロッパーが多々有りました。 また,ゼネコンも「不動産バブル」に乗じて建築
工事費を高くして,マンション価格がどんどん高額になりました。 処が,今回の「不動産バブル」は前回の
1988年から1991年までのバブルと大きく違い,供給サイドが需要者サイドの懐具合を見誤った事が
最大のミスでした。 都心3区(千代田区,中央区,港区)はともかく,郊外の田舎と言ってもいい所のマンション
価格まで上昇させてしまったのがそもそもの間違いでした。 都心3区や文京区,世田谷区等の高額マンション
は何とか竣工後3ヶ月程度で売り切りましたが,悲惨なのはそれ以外の地区でした。
湾岸地区の「湾岸マンション戦争」でも,「不動産バブル」に乗じずに適正価格を付けた物件は大いに善戦
しましたが,それ以外の欲を出して値付けを相場の2割から3割程度高く値付けした物件は未だに苦戦している
との情報が入ってきています。
マンションの住戸だけの原価は総工事費を戸数で割った超大雑把な数字で申し上げますと,大衆マンションで
1戸(約70m2)当り1,600万円前後です。この数字はかなりアバウトですがマンションの商品企画,設計の
目安の数字です。 1戸当りの原価1,600万円前後の価格に区分所有の持分土地代金をプラスし,諸経費,宣伝
広告費や利益を乗せた価格が場所に依り大きく異なって3000万円から4500万円と異常に高くなりました。
こんな事をしていたら今回の「不動産バブル」の崩壊は早いと危惧していましたら,今年後半からその通りに
なってきています。 また,今年後半の売れ行きの悪さに拍車をかけたのが,建設業界の不祥事でした。鉄筋不足や
コンクリート強度不足が露呈し,素人の購入者は何を信じれば良いのかが分らなくなりよけい不安をつのらせて
しまいました。 マンション価格が高すぎて適正でなく,住戸面積が狭く,建設現場も信用できなければ購入予定者は
購入を見送るのは当然です。 あるマスコミが来年はもっとマンション価格が上がるからとディベロッパーと一緒
になって購入意欲をかきたてていますが,現実の処,購入者もその様な記事に踊らされていませんし,踊らされては
いけないと私は思います。 ですから12月末現在でマンションの完成在庫住戸(売れ残り住戸)数が3万戸前後
(本当の数)になったのも,うなずける数字です。
2008年にはこの完成在庫住戸の処分が最優先に始まります。この完成在庫住戸にはとんでもない場所に建っている
マンションが多々有りその様な場所の物件はディスカウントされても購入されない方が良いと思います。どんどん
値下がりして完全に「***」になるからです。 今後,2008年後半から2010年までには老舗の東証一部上場
企業の社宅が沢山売り出されて良い立地の良いマンションが適正価格で出てきますので,その様な物件を購入する方が
良いと思います。 今後,日本の社会は更に「二極分化」し,「***」と「***」に分かれていきますので,この
コラムをお読みになっていらっしゃる方には是非「***」になって欲しいと願っています。