コンピーターによる実験では、東海地震と東南海地震が同時発生した場合、超周期地震の揺れは中越地震の数倍、高層ビルが約2m幅で数分間揺れるという結果が出ました。亀裂、ヒビだらけになった資産価値のないビルとローンが残る可能性もあります。
地震周期とビルの固有振動数が一致すると、共振現象が発生し、際立った横揺れを誘発します。30階のビルなら、震度6〜7の地震で1秒間に2mも横揺れします。60階の超高層ビルともなれば、4〜5mの横揺れも覚悟すべきでしょう。さらに共振で揺れれば、超高層マンション倒壊です。「共振が起きたらアウト」(建築専門家)なのです。
「免震」に詳しい一級建築士のA氏は、「免震」技術の限界も指摘します。
「今の耐震構造は横揺れしか想定していない。しかし地震の揺れは複雑です。例えば縦揺れ。真下からの強い突き上げにより建物本体が瞬間的に浮き上がり、『免震』装置のレールやローラーなどから“脱線”するようなことがあればお手上げです。それを防ぐための対策は、どこまで機能するかもわからないお粗末な“紐”、これでかろうじて繋がれている程度なのです」。地震は横揺れだけではありません。複雑な地震に対して、これらは万全ではないことは覚悟しておくべきでしょう。
一九六四年、マ**チュード七・五の新潟地震では、液状化により地盤が横滑りして、最大七メートルもずれました。これが「側方流動」現象です。ビルの杭がすべて“くの字”にへし折られました。建設業界は驚愕しました。それはビル基盤(杭)の瓦解を意味するからです。つまり、液状化が起これば、地盤は「側方流動」し、超高層ビルまで基礎抗をへし折られ、液状地盤に呑みこまれて倒壊する可能性もあります。