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[ 2014年2月26日 / 日本経済新聞 朝刊 ]
東京電力が今春にもマンション向けに電力を割安な料金で供給する事業に参入する。東電が送った電気をマンションの管理会社や管理組合がまとめて買い、各世帯に配ることで通常より5%ほど安くなる。割安な供給は大手電力以外がてがけ、値上げした東電は顧客を奪われていた。最大手の東電の参入で、マンションを舞台に電気の価格競争が起こりそうだ。
1棟で50戸以上をめどに既存のマンションから始め、新築に広げる。3年後に4万戸、10年後に50万戸をめざす。これまではインターネット関連子会社が副業として試験的に扱っていたが、東電本体で参入する。大手電力では初めてとみられ、全国に同様のサービスが広がる可能性もある。
割安な電力の供給は一括受電ともよばれ、三菱商事などが出資する中央電力(東京・千代田)、NTTファシリティーズ、長谷工グループなどがてがける。1棟分の高圧の電気をまとめて大手電力や新電力から買い、電圧を落として各世帯に配る仕組みだ。いまの法律では大手電力しか家庭に電気を売れないが、まとめ買いした電気をマンション内で配るだけなので規制の対象外となる点を突いたビジネスだ。
電気は企業向け「高圧」と家庭向け「低圧」で料金に差があり、配電費用がかさむ一戸建てに供給する低圧の方が高い。東電の場合、1キロワット時で高圧が約20円、低圧が約25円で約5円の差がある。割安な供給では1〜1・5円分を各世帯の料金の下げにあて、3・5〜4円分を変圧器の費用、検針費、事業者の利益などに回す。マンション共有部分の電気料金にあてることも想定する。
東電は管理会社や管理組合と契約を結び、高圧の電気をまとめて送る。管理会社や管理組合が各世帯に割安に配る形だが、実際は東電が検針、機器の保守点検、料金徴収などをすべて請け負い、手数料を取る。
東電は大口の契約が増え、全体の利幅が薄くなるマンション向けの割安供給に慎重だった。ただ東日本大震災後の大手電力の値上げを機に割安供給は東電管内で10万戸、全国で20万〜25万戸まで広がったとされる。東電は事業に参入し、顧客離れに歯止めをかける。
[スレ作成日時]2014-02-28 16:41:55