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みなさんは、県立西宮今津高校がなくなってしまうという話をお聞きになったことがあるでしょうか。
「今津高校がなくなるってほんと?」大変唐突な呼びかけの案内チラシが、地域で反響を呼んでいます。これは、高校と小中学校の教職員組合が出されているものです。
どういうことかといいますと、県立西宮今津高校を3年後には普通科から総合学科に改編してしまう計画が着々とすすめられているというのです。
本当にそんな話があるのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、根拠のない事かといえばそうではありません。
現在、兵庫県教育委員会は、「県立高校教育改革第1次実施計画」にもとづき、新しいタイプの学校の設置として、単位制や総合学科制への改編をすすめています。すでに、西宮市でも、定時制の市立西宮西高校が廃止され、単位制の県立甲風高校が設置されています。
総合学科については、来年度は、今年開校した武庫之荘総合、豊岡総合を含め全県下10校2320名の定員となっています。
その他にも同計画では入学者選抜制度・方法の改善として、今年度は神戸第3学区で複数志願選抜と特色選抜という新しい選抜制度を導入、新年度は姫路福崎学区でもおなじ制度をスタートさせています。
県教育委員会は昨年12月、『「県立高校教育改革第1次実施計画」における後期計画の推進』を示しましたが、そこでは、後期計画2004年度から2008年度までの計画を明らかにしており、西宮学区には2006年度から2008年度にかけて総合学科を設置するとしています。
これらを総合的にみると、県教育委員会が西宮今津高校を総合学科に改編しようとしていると、言えると思います。
西宮市の公立高校普通科は、現在県立6校、市立2校です。そして総合選抜制度が1953年度から約50年にわたって実施されてきました。問題になっているのは、北部に公立高校がないことも大きな要因となり公立高校の設置場所にかたよりがあり、通学が困難な生徒が多数いることではないでしょうか。
さて、西宮今津高校が総合学科に改編されたらどうなるでしょうか。
今年開校した県立武庫之荘総合高校のホームページを見てみますと、Q&Aの「総合学科とはどのような学科ですか?」という問に「生徒は入学後、基礎学力をつけながら、科目「産業社会と人間」で各種の体験や実践を通して自分の進路を考え決めていきます」「生徒は自分の夢実現に向けて普通科目と専門科目の両方から幅広く科目を選択して学びます」「生徒は自己決定、自己責任の精神が求められます」とあります。武庫之荘総合高校では、定員320名、半数は全県から推薦で、残る半数を学区から試験で入学をしています。
西宮学区でも同様の措置がとられると、現行の入学試験制度に大きな影響を及ぼす事になります。
第一に、普通科定員が西宮今津高校1校分減員され、開門率が現行約60%より大きく後退することになり、普通科を希望する生徒の道を閉ざす事になります。
第二に、高校の設置場所が今以上に偏る事となり、全市的に校区が大幅に変わり、希望する居住地に近い公立高校にいけなくなる生徒が大幅に増えてくると考えられます。もちろん、西宮今津高校は普通科としてなくなるのですから、今津や真砂などの中学校の生徒は地元の高校へいけなくなります。
第三に、総合選抜制度をやめさせようという動きがありますから、結論として、新たに生じた問題を総合選抜制度にあるかのようにして、その見直しにつなげるということが考えられます。
私は、50年以上続いている総合選抜制度は、第一に中学生にとって、安心して高校受験に望める、第二に西宮学区の公立高校では学力の格差がない、など、国連も是正を勧告するほどの異常ともいえる競争的な教育制度のもとで、それを大きく緩和する役割を果たしてきていると思います。
何人かの中学校長にも総合選抜制度に対する評価を聞いたことがありますが、一様に評価をするとともに、西宮市の中学校教育の前提となっているとの趣旨を言われていました。
「15の春を泣かせない」という意味でも、安定した中学校生活、高校生活をおくる上でも、現行の総合選抜制度を堅持し、その一角でもある今津高校は総合学科などというものへの改編は必要ないものではないでしょうか。