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私の経験で申し上げます。
そもそも昔のマンションの床材はカーペットや長尺シートが主流でした。
1980年代の終わりごろから1990年代にかけて、“ハウスダスト”という言葉が世間で囁かれはじめ、
カーペットやじゅうたんに潜むホコリやダニの死骸がアトピーなどのアレルギーの要因となるということで、
マンション業界ではハウスダスト対策としてフローリングの採用が流行り始めました。
この頃のフローリング貼はその殆どが二重床でした。
その後、“直貼り用フローリング”なるものが出てきました。
しかも、直貼り用フローリングの施工は二重床に比べて容易で尚且つ安価であることが最大の魅力でした。
二重床と比較して安価にハウスダスト対策としてのフローリングを謳えるとあって、各マンションデベロッパーが採用し始めました。
直貼り用フローリングとは、基材は無垢材ではなくベニヤ(構造用合板)であり、裏側に無数の刻みを設けてさらにスポンジのようなクッション材で弾力を付けたものです。
フニャフニャする独特の歩行感や、家具が垂直に置けなかったり裏面の接着剤が均等でないと不陸を感じたり、要するに安っぽい代物でした。
また、無垢材は割れてしまうし突板は弾力の曲がりに追随できずに剥がれてしまうということで、見た目の高級感を出すことも難しく、
木目模様をプリントしたシートをべニアに貼ったシートフローリングに主に採用されてきました。
さらに、フニャフニャするということはそもそもサネ(フローリングの継ぎ目)鳴りの原因となったりと、結構施工後の問題もありました。
したがって、高級マンションには直貼りフローリングは採用されることはありませんでした。
これが、現在の二重床の高級感の元とも言えましょう。
1990年代終わり頃には、マンションの住環境としての性能がさらに重視されてきます。
“遮音等級”床遮音L値(LL/LH)、壁遮音D値、という言葉をよく聞くようになったのもこの頃です。
しかしながら、この頃はまだ、床の衝撃音の軽減に関する研究はかなり稚拙で、今からすると間違いが多いものでした。
2000年代になってもなお、二重床の遮音性能を過剰評価すると共に直床の遮音性能を過小評価する傾向は続きながらも、二重床の遮音性能には疑問がありました。
2010年頃になってようやく研究成果としての遮音性能の評価が明らかにされ、
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/166659.pdf
(CASBEE新築(簡易版) 建築環境総合性能評価システム)
上記資料の35ページ(37枚目)にて、記載のある通り、
二重床の場合、重量床衝撃においてはL値改善値がマイナス評価であることが明らかになりました。
これは施工要領の影響はかなりあるものの、二重床は何もしていない素のコンクリートスラブよりも重量床衝撃音が悪化しているということです。
それに対し直貼りフローリングは近年になって、印刷技術の向上やシート素材の開発が相次ぎ、
従来よりも
・剥がれにくい
・ワックス不要
・リアルな表面印刷
の商品が出てきました。
明らかに遮音性能が高い上にコストダウンが図れる商品として、最近(ここ3年ほど)の間に改めて直貼り工法が見直され、
各床材メーカーもそれに応えるような形で新商品を出しています。
さらに、マンションリフォームが行われる場合においても、実際の場合においては直床の方が二重床よりも安価であることが判明しました。
しかし、直床は二重床に対し遮音性、低コスト性、簡易なリフォーム性は優れているものの、根本的なフニャフニャ感はそのままです。
「フニャフニャというだけで床としては失格」「床に石やタイルを貼ると遮音性が無くなる」とした声も根強い中、
最近では建築価格の高騰と消費者ニーズに応えるために直貼りが増えてきた感はあります。
どちらも一長一短というのがお分かり頂けたと思いますが、あくまでも私の経験です。
CASBEE新築(簡易版) 建築環境総合性能評価システム 35ページより