立地と価格が大半の話題ですが、躯体の話が出ないのは理由があるのでしょうか?MRにて渡されたパンフを見て、一番驚いたことは、外壁がALCであることです(Quality Book pp13,図面集のうすい灰色部分)。
「買っていい一流マンションダメな三流マンション」(碓井民朗、ダイヤモンド、2006、pp34)に、
「最近、私が見たレベルダウンの事例をいくつかご紹介しましょう。まず、構造面で驚いたのが、外壁にALC版(軽量気泡コンクリート版)を使うケースです。売主は誰でも知っている大手デベロッパーで、立地は申し分なく、価格の安い住戸でも5000万円はします。販売センターは高級ブティックが並ぶ通りの5階建てビルをそっくり借り上げ、インテリアなどもセンスよくまとめてあり、かなりお金をかけているのが分かりました。
ところが、設計図書を見せてもらって唖然。なんと、バルコニーと共用廊下に面した外壁がALC版になっているのです。ALC版はコンクリートに気泡をまぜ固めたもので、中には鉄筋ではなく鉄線が入っています。一応、耐火建築物になりますが、版と版のつなぎ目が月日とともに切れやすくなり、また衝撃にも弱いとされます。
軽量化が必要な超高層マンションなら、外壁にALC版を使うのも仕方ありませんが、このマンションは13階建てです。普通なら、外壁はすべて鉄筋コンクリート造で、さらに地震によるひび割れが起きにくいダブル配筋にすべきです。それをシングル配筋よりさらに弱いALC版にするとは、どういうことでしょう。妻側の外壁はちゃんと、ダブル配筋の鉄筋コンクリートにしており、「確信犯」です。購入者には分からないところだというので、ゼネコン(建設会社)との工事費の交渉の際、安易に妥協したとしか思えません。
販売センターに過分なお金をかけるくらいなら、その一部を建設費に回し、外壁はすべて鉄筋コンクリートのダブル配筋にしてほしいと思いました。」
との記載があります。プラウド新浦安はベランダ側もALC版ですね。耐久性は悪いがコストは削減できることとなります。
また、同書には、
「床スラブに用いられるのが、デッキプレートといわれる凸凹のある鉄板や予め工場でつくられたハーフPC版です。超高層マンションの床は、このデッキプレートなどを敷き、その上に鉄筋を組んで、コンクリートを組んで、コンクリートを15〜20㎝流し込みます。こうすると、いちいち型枠を組む必要がなく、小梁も不要で、工事の効率がよくなるのです。
しかし、鉄筋コンクリート(RC)造に比べると軽いですし、版も振動しやすくなっています。そのため、子供が飛び跳ねたときなどの重量衝撃音の遮音性(LHで表示)があまり良くありません。RC造、SRC造のマンションのスラブ(小梁使用)であればLH50程度のところ、こうした超高層マンションのスラブではLH55が一般的です。」(pp208)
とも記載されており、Quality Book pp8の床板の作り方では遮音性が悪いがコストは削減できることとなります。
さらに、同書には、
「「アンボイドスラブ工法」や「ボイドスラブ工法」といって70㎡程度までなら小梁が不要な工法があります。こういう工法を採用したマンションでは、小梁がないので、天井が平らになり、リフォームしやすいといった説明を見かけますが、私にいわせればむしろ工事費削減が目的です。〜私も10年ほど前、構造設計者の勧めでボイドスラブを採用したことがあります。専有面積が75㎡ほどのマンションだったので、小梁なしでいったのですが、夜間静かな場所だったこともあり、上階の重量衝撃音がよく聞こえるというクレームがたくさん出て困ったことがあります。〜床の遮音性についていえば、通常の鉄筋コンクリートのスラブで厚さが20㎝以上あり、小梁を入れて梁間面積が30㎡程度に分割されている仕様が、もっとも安心できると思います。」(pp130)
と記載されており、Quality Book pp9の作り方では、同様に遮音性が悪いがコストは削減できることとなります。
以上から考えると、土地代が高かった分、躯体の費用を削っているのではないかとの疑問が湧いてきます。